「時の墓標」
眠っていていいよと言われたら、たぶん3日くらいは眠っていられるんじゃないかと思います。
実際わたしには、最長36時間というオソロシくも輝かしい(?)連続睡眠記録が(水は飲んでるみたいです、枕もとの水差しから減ってるから)。
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母の実家はむかし養蚕をしていました。子供の頃、よく母の田舎で蚕棚や糸車を見ていました。
繭は、寝台に似ていると思います。眠りのための、白く閉じられた空間。眠り――生まれ変わるための、祝福された死――を、包むのに相応しい、白絹の柩。
眠りというのは限りなくプライベートな空間だから、誰のことも寄せ付けない、閉じた寝所に憧れます。目隠し布のついた寝台。そうして仕切ってしまったちいさなその柩を、夢で埋めてゆくのだと。夢の城壁で自らを高く塔のなかに閉ざしてゆく、夢は庭をめぐりいばらとなって、千年の眠りを守る。
蚕が自らのからだを削るように吐き紡ぐあの糸は、或いは夢そのものなのかもしれない。
そんなオノレの趣味に基づき、わたしのベッドは真っ白&カーテン付き。一度カーテンを閉めて眠るときに余分なものが視界に入らない環境を味わってしまうと、オープンな空間では眠り難くなる気がします。
「銀糸の枷」
「流れて落ちる」
「妄想サナトリウム」
「ヴィオラ・マニア」
「雛の遊び」
「天の雫」
「ロザリオホリック」
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「浴室幻想」
「続・馨に溺れる」
「馨に溺れる」
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「続・大正浪漫」
「とおりゃんせ」
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「照明―夜の装置―」
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「大正浪漫」
「王国―わたしの部屋―」