「続・馨に溺れる」

aroma

馨モノが好きな割にはアルコール系香料の香水が合わない(鼻の奥が痛くなって頭痛がするという為体)体質。
香水は馨という目に見えないものに名前を与えてイメージを遊ぶ、実に美しくも魅惑的な装置で、「オンブル・ブルゥ」などと聞くとたまらない衝動を覚える。そういった概念はとても魅力的なのに、相性が悪くて悔しい。

だけれど馨モノは好きなので、香水ではなくアロマオイルを使う。
アロマオイルというとどうもナチュラルで素朴な、悪く言えばどんくさいイメージがあって、人工的に洗練された耽美的な魅力やブレンドの複雑さでは香水に及ばないけれど、そのぶんシングルでの馨の精度は高い。

そういった性格の違いは、それらを入れる容器に出ていると思う。香水瓶は宝飾品のように女性的で絢爛だけれど、アロマボトルの遮光瓶の色やかたちは医療器具のようにシンプルで美しい。あの器というものこそはおそらく、目に見えない馨というものに与えられた容姿そのものなのだろう。

自分が体質的に、社交界の貴婦人の持つ媚惑の装置ではなく、病室の絶対的な冷たさを選んだあたり、本性が出ているのかもしれない。

お気に入りはGAIAのローズマリー。夏はグレープフルーツ、冬はラベンダー+ユーカリをよく使います。同じ種類のオイルでも会社によって馨が違うので、実物を自分の好みで確認して選びます。原料の産地や工場の違いもあるけど、天然のものなので、紅茶と同じくその年の気候によっても違って当然といえば当然。ちなみにブルガリアンローズやジャスミンなどはまさしく液体の宝石並の価格です(2mlや5mlで5桁価格)。
ボトルとケビント/アロマオイルはGAIA、青い瓶はニールズヤード、ケビントは昭和初期のもの