「銀糸の枷」

銀糸の枷

銀糸の枷

ロザリオはアクセサリーではないので、聖品として売られているものやアンティークなどは特に繋ぎが弱い。落すとふつりと切れて、そのまま弾けてばらばらになってしまうこともある。最初に購ったロザリオはオーロラのかかった透明のプラスチックビーズのもので、珠も小さく首にかけようとするとやっとの長さ(そもそも首に掛けるものではないのだし)、誤ってちょっとひっぱるとすぐに途中から外れてしまうので、何度も自分で繋ぎ直したものだった。

3つ目に選んだのは水晶のような大きめの硝子ビーズで編まれたロザリオで、地金の厚い重い十字架がついていた。真冬に購ったせいもあってか、手に持っても首にかけても、その重さ・冷たさは金属の枷を思わせた。

重いロザリオはその感触や重みで枷に似ているけれど、繊いロザリオもやはり枷に似ていると思う。簡単に切れるとわかっているものを手にしたら、切らないために細心の注意を払わねばならないからだ。
重いロザリオが物理的な枷ならば、繊いロザリオはまるで心に絡む銀糸の枷のようだと思う。

その儚さが好きで、自分で組むロザリオにはわざと細いピンを使ったりすることもある。

*
画像の透明なビーズのものが3つ目のロザリオ。もう片方は「淡水パールには銀ではなくて金!」と思って金のピンで組んだ自作品。ロザリオ愛好仲間の友人に「切れそうでよろしい」という賞賛の言葉を頂戴した。よもや同じような視点でロザリオを眺めている人がこの世にいるとは思わなかった。

アンティークの聖書と硝子ビーズのロザリオ、淡水パールのロザリオ。聖書は1800年代フランス、硝子ビーズのロザリオはイタリア製。