「照明―夜の装置―」

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照明器具にはそんなにこだわりはなかったつもりだったんですが、気がついたら、狭いわたしの部屋にはアンティークとそれ以外のものとりまぜて、なんと照明が全部で6個もありました。

何故こんなに照明が集まったのか考えてみると、ひとつは物理的な理由で、いくら骨董が好きでも、大きな家具は置き場所に限りがあるんですね、だから、必要なものを揃えてしまったら、そうそうは買い足せないんです。と、なると、場所をとらない小物や照明に走り出すのです。

もうひとつの理由は、照明は、わたしが『王国』の章でかいた、”骨董の持つ独特の時間の流れ”を、操ることができる装置だからだと思います。
どんな時間でも、カーテンを閉めて白熱灯を灯せば、そこは夜の空間になるのです。夜は停止した時間、それはわたしを守ってくれる。白熱灯は夜の装置、『夜』を投影する幻灯なのです。

実は二番目に買ったアンティークは、ベントウッドの椅子と、リプロダクションですが照明でした。それは今も枕元にあって、わたしの眠りや眠りの前の時間を見守ってくれています。