「魂の寝台」

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これ、なんだかわかりますか?

実はこれ、小さな柩、手のひらにのるくらいの大きさの棺桶です。

寺山修司の著作『月蝕機関説』(だったかな?)に、『ポケットサイズの棺桶』っていう章があって、手のひらにのるくらいの小さな棺桶の図面を、生涯にわたって何百枚も書きつづけた、実在した男性のことが書いてありました。
その章のなかみそのものには興味がなかったんですが、タイトルを見た瞬間、いいな、欲しいなって思ったんです。
その話をしたら、当時の知り合いで版画家の、たいへん器用な方がいて、突然これを作ってくれたんです。

わたしのこころは生きながら柩に安置されているので、現身で生きる世に風が吹いても嵐がきても安心です。

そんな寝台が必要なときが、誰にでもあると思うのです。

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中身はこんなです。真鍮板を切り出した十字架が入ってます。ご丁寧に、柩の蓋のプレートには、わたしの名前が刻んであります。とっても精巧。きいた話によると、吸血鬼映画をたくさん観て、柩のかたちを研究してくださったそうです…。

製作:Y.G.
本体は木と真鍮、中に納められた十字架は銅板と紙