カテゴリー別アーカイブ: corsage

42.「秋色暮色葡萄色」

KI02夏 葡萄コサージュ

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葡萄の葉っぱとこのびよよーんと伸び出た蔓が欲しくて買ったという噂もちらほらな葡萄コサージュ、葉っぱフェチ健在。パープルとワインが大好きなみとせですが、実は葡萄柄の服はひとつも持っていません。金子功デザインの葡萄のプリントは、ワイン系じゃなくて、なんとなくマスカット色のほうに照準が合ってる気がするんです。ので、自分は無地モノやニット、チェックと合わせてニュアンス葡萄を楽しんでおります。

昔の葡萄コサージュより軽くなったとはいえ、やはり実モノは重いので、綿ローンには当然無理ですが、葡萄は綿ローンを要求する風情のものではないのでノープロブレムです。葡萄モチーフって、ぽこぽこしたアランニットにカシミアのストールをひっかけて、みたいな、上着の要らない時期の装いにもいい。

葡萄は和調ものではないけれど、その季節にしか使えない、という点では和調に共通する世界があると思います。季節ごとの服の入れ替えってのはみなさんやってると思うんですが、けっこう季節モノのコサージュがたくさんあるせいで、うちはコサの入れ替えがあります(笑)。

コサージュって、和の世界に置き換えるならたぶん帯留めみたいな位置付けなんだろうなと思います。なくても別にコーディに問題はないし、いらないようなところなんだけど、つい個人のこだわりで凝る、みたいな。

葡萄色は秋と冬の境の黄昏の終わり際、黄昏の裾と夜の交わるあたりの色。春先~真夏はやはりこっくりした色は暑苦しいので休業期間にされてしまうのですが、秋冬になると猛然と活躍するカラーです(笑)。

ワインカラーの葡萄が4房もついた豊作な(笑)コサージュ。重いかな、と思ったら、むかしのより軽くなってました。きっと素材が変わったんだろうな。葡萄は昔から好きなモチーフですが、あのかたちの葉っぱと赤っぽい実、というとりあわせが好きなようで、ぶっちゃけカシスでもよいのです。というか、カシス柄とカシスのコサージュが出たら買います(笑)。

42budou_02ki_02葉っぱ側から見るとこんな感じ(右)。
葡萄はたくさん実がついてるので整えるのが面倒くさくて難しいものの代表格だと思います。実、すぐとれちゃうらしいですし(笑)。でも実のついた軸のワイヤから実が抜けちゃってるだけなので、とれても慌てずに、ボンドを軸にちょちょいとつけて、元通りにぷすっと差し込めばくっつきます。

41.「老女優の誇り」

KI02冬 一輪薔薇コサージュ

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みとせにしては珍しいベージュトーンのコサージュ。中央がベージュブラウン、中間がベージュピンク、一番外は白に近いほど薄い色の3段階に染め分けられています。 花弁のかたちも少しずつ違うみたいで、フリル状の縁とかの一箇所一箇所それぞれがすごい細心の細工になっている。

数え切れないくらいの枚数の花弁を使って仕上げてあるんですが、それなのに全然重くもないし、厚みもなくて大きさの割には据わりがいい、よくできたコサージュです。軽いのは花弁が多いことに加えて、素材にシルクを使ってるせいだと思うんですが、さすが、お値段もかなーりいいお値段でした。一輪薔薇でリボンとか房とかのオプション装飾なしなのに、これ、2万以上しました;; 高価なものには高価なりの理由があるものです。

花にも勿論惚れたんですが、葉っぱフェチみとせ的には、この中の一枚だけかたちの違う細長い葉っぱを特筆したい。一枚だけなんですが、葉っぱの途中から斜めに黄色と茶が混ざったような色で染め分けられているのがあって(右端の飛びだしてるやつです)、その葉っぱはわざとくちゃっと真中から縦に折りたたんであって、さらに横にもねじくれて曲げてあって、もう枯れかけなんだか病気なんだかっていう汚い風情にしてあるんです。それがすごくいい。

枯れかけの花の独特の風情、もとが美しいものであるからこその凄みと艶、蓄積されたその生の歴史。そういった非凡なはずのものを、なんでもなくおさえこんで自然にいられる気品。老女優のプライドのようなコサージュだなと。そして自分も長じたならば、そんな在り方のできる人間でありたいものだと思うのでありました。

シックなベージュ系の一輪薔直径10センチ以上の大輪です。花も開ききって中央の花芯がみえているし、花弁の色も枯れ色ですが、実は葉っぱもけっこうねじくれていて、全体が枯れ気味の風情です。枯れかけた花って独特で好き。

40.「村娘の枝簪」

WW00夏 昼顔と木の実コサージュ

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わたしにしては珍しいミックスカラーで木の実付きなのですが、それもそのはず、実はこれは自分がショップで購入したものではなく、知人から「うまく使えなかったから」ということで譲り受けたものなのです。

ミックスブーケはほとんど(というか、ミックスカラーブーケは全くといっていいほど)持っていないので、上手に使えるのかな…と心配してたんですが、実際使ってみたら、多色遣いのため「ブーケに入っている色には分量に気をつけさえすればたいがい合わせられる」という驚くほどの使用半径を持っていて、戴いて3日後には軽めの和調コーディには欠かせない存在となっていました。…というわけで、もう頼まれても返さないのでよろしく、Kさん!(笑)

実はわたしは和調は赤を意識して着ている(地色が赤でなくても、赤の入り具合とか、そういう部分で)のと、軽めコーディの和調にはGジャンを羽織ることが多いんですが、このコサージュ、そのふたつに合う条件をきっちり満たしているんです。赤が入ってて、青が入ってる。全体と房は白ベースだから濃い目の色につけたほうが映えるし、無地ものコーディもこれひとつで和の雰囲気にチェンジできるので、赤い鼻緒の下駄つっかけてがっこんがっこん歩くのに最適です(笑)。

勿忘草をはじめ、いかにも”そのシーズンに使った花をちょっとずつ寄せ集めた造り”のこのコサージュ、和調にこの型の薔薇が入ってるところとか、ベリー系の実が入ってるところとか、コサージュとしてのまとまりで見たらちょっと強引だなあって思ってしまう部分もあるんですが、その寄せ集め感がある意味で、簪ひとつ自由に買えない貧しい家の子が、それでも少しはきれいにしていたくて、軒先や山野で少しずつ集めてきた花を飾ったような、そんなふうにも思えないでもない。

偉そうなご大層な花魁コーディでもなく、お上品な上流階級の和服のイメージでもなく、自由に平素に当たり前に着る衣服、自分が織の着物や浴衣などの普段着着物を着るその感覚のままにつけていきたいコサージュです。

40kusudama_ww00_02昼顔に薔薇に、勿忘草に木の実にと、そのシーズンに使った花をとりまぜたこのコサージュ、一種の寄せ集め的なあり方(笑)。ブーケ部分は直径8センチくらいと小さめ。房はリリアン。房がついてしまっている上に、薬珠状のまとめかたなので、どうやっても和の雰囲気になってしまう用途限定のコサージュ。

見る方向によって全然顔が違うこのコサージュ、右半面を見せている上の写真と較べると、左半面のこの写真では色の配分からしてかなり別物。右半面は白~淡ピンク、左半面は青が強い。つけるとき両側から見てなじんだコーディになってるかチェックしてます。

39.「冬の海に」

WW 99冬 しろつめくさと勿忘草コサージュ

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夏になるというのに季節無視したタイトルつけてすみません;;
前に紹介したWWのしろつめのときに「過渡期のものなのかも」って書きましたが、進化形がこの型のしろつめ。これも西洋しろつめなんですけど、前のよりさらにかちっとこてがあててあって、硬いのですがその分立体的な感じです。前のPHのが水彩だとしたら、こっちはエッチングみたいな印象。写真ではそこまで見えないですが、花の中央に緑~ベージュのぼかしが入れてあったり、縁が濃い目になっていたりして、何気に染にも手間かかってます。

しろつめに勿忘草とみとせの好きな花がタッグ組んで合わせ技で(笑)やってきているこのコサージュ、しろつめと勿忘草は93年くらいにPHから出ましたが、あれより全然かっちりした出来です。勿忘草の青みにあわせてか、しろつめのベージュもわたしの好きなさめた感じのベージュ。
輪郭がかっちりしていることと、花が多くて割と重いので、綿ローンには全く向かなくて、どちらかというとブロードや厚地向きです。しかし寒い色遣いなので春と秋にはまず出番がなくて、夏か冬のコサなんですが、前述の「ローンに向かない」という理由で夏場はあまり使えない(苦笑)。さらに言うならこの紺、デニムにつけると素材感のせいかほぼ服と一体化してしまって、あんまり映えないんですよ…なので、質感の違うウールのフラノのピーコートや、色目の違う白ブロードのセーラー襟に合わせることが多いです。セーラー(海兵)ものと相性がいいってことは、やっぱりどこかしらがシャープなコサージュってことなんですね。

硬めのしろつめに本物っぽい勿忘草。紺のオーガンジーリボンのや葉の色目が、青でも春~初夏向きの色じゃない寒い色。冬企画のものはやはり冬の色をしている。

39clover_99ww_02一応アップなぞ。前に紹介したPHのしろつめとも、WWのしろつめとも微妙に違うのって…わ、わ、わかんないですよね…;; 花のふちにちゃんとこてがあたってて、一弁ずつがカーブしているのが見えますでしょうか? 花の奥もちゃんと淡いグリーンに染められているのがわずかにのぞいてます。

36.「手毬、簪、花くすだま」

WW 02秋 撫子コサージュ

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4色展開で結局全色買っちゃった撫子のコサージュ。WWの縮緬和調とのコーディ商品だったんですが、撫子コサなのに和調の柄は何故か「芥子と南天」柄。しかしよく見ると、和調の柄の方にもちゃんと撫子が入っているのでした。黒地のプリントには白の撫子。色目によってちょっとずつ違ったみたいです。

素材もマットなもので仕上げてあって、房もついていて、確かにパーツそのものも『和』を意識していると思うんですが、何に一番和を感じるかといわれればこの花の組み方。ぽんと球く組んである。通常のコサージュ、西洋風のブーケはこんな組み方はしてないです。もっとフラワーアレンジメントみたいに三角が基本の立体的な組み方になってます。なのにこのコサージュはわざところんとまんまるに組んである。あどけないというか、計算がないというか、ある意味ですっぴんぽい隙だらけな組み方。花くすだまや簪、手毬に似ています。隙で『和』を表現するっていうところに、プロのセンスを感じました。わたしは和調の服のみならず、綿ローンや、果ては着物の根付の位置につけたり、髪にどどんとつけたりも平気でしています(笑)。

しかしこのコサ、とにかくかたちが崩れやすいです;; 花びらもすぐあっちこっち向いちゃうし、葉っぱもすぐくるんと奥まってしまう。房も紅葉のときみたいなリリアン房じゃなくて、これは綿糸の房だから、すぐ絡まってばらばらになっちゃうし。つけるたびどころか、つけていながらでもときどき手で直してあげないといけない。

そう、それで、「直すのなんて簡単じゃん、ちょちょいと手で伸ばして方向を整えて…」って思っていたんですが、最近「直し方がわからない、どの方向をむければいいのか皆目謎」と何人もの友人から言われまして。そうか、そういうもんなのか、と。それじゃあなおのこと、初心者さんには整える必要のほとんどない一輪雛菊、或いは一輪モノでも葉っぱの少ない一輪梔子、や一輪薔薇がいいんだなあと改めて思いました。

…そっか…それじゃあ、これは、可愛いけど初心者にはオススメできないコサの典型なんですね…(汗)。
撫子の特徴である花の縁のぎざぎざや表面の模様がよく再現されてます。4色展開でしたがこのピンクのくすみ具合がツボに入りました。葉っぱは毛足のある素材、花はたぶん小しぼの縮緬。マット感がまた和風です。

36nadeshiko_02ww_02リボンは和調の南天と芥子柄のちりめんでできています。コーディ商品の証(笑)。カネコの綿房はどれも妙に凝ってて、表面をすこしずつ取ってまわりにぐるりとまた小さな房ができるように、飾り結びを入れてあるのがデフォルトのようです。そんな無駄っぷりにも惚れました(笑)。

35.「淑女の日常」

KI01秋 一輪薔薇コサージュ

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前回(『34.小さな貴石』<定番もの>)が一輪梔子のチビだったので、今回はチビの一輪薔薇を。
このコンテンツの一章で初心者向けに紹介したWWの一輪薔薇(『1.小さな花飾り』<定番もの>)のチビコサとよく似てますが、あっちのほうは綿でマットでふんわりした印象なのに較べて、これは半透明っぽくてちょっと硬い印象のある、折り曲げたらぽろりと折れてきそうな花弁です。

硬いと言っても繊細さのある感じ、蝋細工のような不思議な素材感です。実際は型崩れしにくくて、WWのよりも丈夫なのですが。(WWのあれは花はもっとやわらかい印象ですし、茎の色はもう少し強めで遊びっぽいです。そして実はあのWWタイプの花弁は、くるんとした縁の捲きがとれてきちゃったり、布縁がほつれてたりして実はけっこう崩れやすいのです…(涙)。そこが愛しいんですけどね、ああいうのは;)
これは発売当初、先にも言ったようにWWの一輪薔薇と似ているだけあって、やはり初心者さん向けに、中でも大人になってからカネコに入ったという方とか、ふりふり系よりきれいめ系の着方がお好きな方にすすめまくった一品です。理由はまず小ぶりで一輪なので見た目も抵抗が少なそうなこと、かわいさとかっちりさが程よく調和してて、ナントカ風、みたいにイメージが端的すぎないこと。それから、丈夫で型崩れしにくそうなので扱いなれてなくても安心できそうなこと。茎も色が淡めで細くて主張が弱いので、花弁の質感とあいまって、おとなしめのジャケットにも、ポリにも目の詰まったブロードにも合うと思います。ブロードは上半身だけでもちょっとアイロンをあてておくとなおいいかも(笑)。洗いざらしっぽいコサじゃないと思うので。

丈夫そうな花弁のコサはまず好みに外れるので買わないんですが(崩れやすそうなのが好きってのも毎日コサのコサバカとしてはアンビバレントですが;)、これはこの蝋細工のような透明感が魅力的に映りました。前回の『小さな貴石』の一輪梔子も蝋細工のような質感の花でしたが、このタイプは普段使いにいいなあ、などと思うのでした。

中央が濃い目、外側は薄い色目の濃淡二色遣い。花芯はくしゃっとオールド風ですが、輪郭を作る外側の花弁がひらひらしていないせいか、可愛いさの中にもかちっと程よいお行儀のよさを感じさせるコサです。

35rose_01ki_02一輪だとこんな感じです。細い茎が伸びやか。茎の処理に困るって方もいるようですが、茎なんて自分の体型にあわせてつけやすいようにアレンジしちゃってもいいのです。だって、ワイヤですからもとのままの状態を保つのはまず無理ですもん。ショップに納品されるまでの運搬で既に変わってますので(笑)、安心して好きに整えてください。

34.「小さな貴石」

KI 02秋 梔子コサージュ

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チビコサのくせに昔のIBの普通サイズの梔子コサと同じ値段。同時期に出たWWのリボン付き梔子チビコサの1.5倍の値段。なんでやねん!!とカタログの価格表を見たときは驚いたもんでした(笑)。

でも、実物を見ると果たしてやはりきれいでした。花弁の枚数がまず多いし、花芯の立ち上がりや巻き方がすごくノーブルで端正。波打つふちのかたちも繊細で、水晶のような光沢のある花びらは温度の低い感じのベージュ。小さいけれど無色だけれど、とても美しい輝きをもった小粒のダイヤモンドのようなコサージュだと思います。

小ぶりでかちっとしているので、コートのときにマフラーやストールと併用して、とか、ネックリボンの結び目に、とか、薄手のスカーフとも相性抜群で合わせ技にも重宝しています。ちょっとオトナの猫を被るときにはかなりの確率でコレが胸にくっついています。…並んで2個くっついてることもあるけど;(←どこがオトナの猫だ!)

肩幅の狭い人は、普通コサだとからだに対して大きすぎることがあるので、こういうチビコサを普通に使うのもオススメ。コサ選びって意外にデザインだけで見てる人が多いようですが、まず自分のからだ、特に上体、肩の広さと胸の厚みにあわせて対比で選ぶものなので、普通コサとして売ってるものの大きさや基準にとらわれず、自分にあったサイズのものを探してみてください。同じ花の一輪コサでも、実は出るたび大きさや素材、花弁のかたち付けがちょっとずつ違ったりするんですよ。

小さめのコサージュですが端正な佇まいでお気に入りの梔子。色がグレーみのベージュでみとせ好みです。唯一の不満点は葉っぱがぺらっとした光沢素材なことなのですが、この葉っぱは昔のIBの梔子を思い出させるのでノスタルジックな気持ちにもなります。
実はたいそう気に入ってよく使っているため、もう一個か2個欲しいです; セールにかかったときに買い集めておくんだったー!!と後悔中。お使いでない方、よろしければ身請けさせていただきますのでご連絡下さいまし(切実)。