カテゴリー別アーカイブ: Japanese

51.「やよいのそらは」

KI04春 桜と柳コサージュ

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カネコにせよオルガン(ガーランド)にせよロリィタにせよ、フリル服系列は全て西洋文化への憧れを誇張したような服で、古いところだと仏蘭西宮廷の社交服、シャーロック・ホームズの時代の上流階級のドレス、大草原の小さな家の日常着。天蓋付きのベッドにマホガニーやパインの家具。西洋風のものに憧れがあって、日本のものにはあんまり興味がない…という人だって、日本人はやっぱり桜が好きなのだなと思う。桜というよりは燕が相棒という印象があって、旬は5月~という感じなのだけど、桜が咲くころになると確かに柳の蔓のような枝に新芽が吹いて色彩がやわらかくなる。それに桜と柳の組み合わせは友禅の訪問着や小紋などでも時折見かける組み合わせだから、もしかしたら何か桜と柳にまつまる有名なモチーフでもあるのかもしれない。

このコサージュと同じ柄の服は持っていないので、他の桜柄の服に合わせてつける。或いは着物のときに、バッグや髪に。桜は春の花だけど、春を待つ新春くらいから使い始めていいかなとわたしは思っている。

でも桜が咲いたらもうつけない。
本物の桜と勝負するなんて愚かなこと、勝ち目があるわけないのだから。

八重桜に枝垂れ柳を組み合わせたコサージュはKIの「桜と柳柄」のコーディネイト商品。花は小しぼのちりめんで、桜というには厚ぼったい印象があるけれど、本物の桜のように淡く透けるような素材を使ったら、きっとアクセサリーとしては輪郭と存在感の薄いものになってしまうのだろうという気がする。淡い花弁の桜もどんな風に仕上がるのか、オブジェとしてでもかまわないので見てみたくもある。

51sacra_04ki_02花芯が桜!っていう感じです。でも蕾は全然桜らしくない(不満)。桜らしくないっていうよりも、たった1枚のパーツを中空に球くしただけの作りなので、どうにも単調で微細な思い入れが持てるポイントがない…。

2個持っていますが、蕾の伸び出方はこっちの方がお手本のようにきれいでした。桜の枝先にある蕾のように、咲いている花のかたまりからすっと下へ伸び出ている。

48.「いづれか知らず」

IB年代不明 椿コサージュ

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椿コサージュとしていますが、実際これが本当に「椿コサージュ」として発売されたものなのかわたしは知りません。つまり他のIBのコサージュのように、自分で店頭で選んだものではないのです。手元に来る際に、「椿コサージュ」と名がついていたので、ここでは椿としています。

ただ、以前いつだったか、店頭でこれによく似た型の薔薇のコサージュを見た記憶があるので、これは薔薇のコサージュなのではないかと思います。花弁の枚数とか、茎にくるくるの蔓がついているところとか、蕾のかたちとか、花芯の風情とか、薔薇の方に近いのです。
椿は宣教師カルメの手により西洋に運ばれて定着、西洋の文学などでは常に「香りのない花」と言われ、冷たい花、或いは控えめな花など、女性を表すモチーフになってきました。

とはいえまったく香りがないわけではなく――桜も香りのない花と言われますが、日本人なら「香り、あるじゃん!」と思いますよね(笑)。
西洋の花の象徴である薔薇の、遠くからでもわかる匂い立つ芳香に較べ、唇を近づけるほどに側に寄らねばわからないほどの清しい香り、その控えめなところが日本らしいという気がします。

このコサージュはどちらかわからないけれど、確かにこの日本的なこっくりした赤の色と重めの素材感は、椿と言われれば椿と思えなくもない。

合わせ方によって椿にも薔薇にも化けるというのは、考えてみれば実に興味深く魅力的なイメージで、実に女性の本質をついていると思います。

最近は品種改良も進んで、椿もとりどりの美しさを見せるようになりました。西洋の薔薇に劣らぬ椿の風情を堪能したいと思います。
IBのコサージュは結局プロパーで購入したことがないみとせのりこ、これも例に漏れず…。IBのコサージュは「自分がつけたいコサージュ」ではないのですが、独特のクラシシズムがあって「とても美しくていいコサージュ」だと思います。どんなの出てるかな、と、通りすがれば店頭をのぞいて鑑賞。いつだったかこれの色違いを店頭で見て、それは確実に薔薇に見えたような気がしたのだけど、通りすがりなので詳細は不明。どなたかIB愛用者でこの子の出自をご存知の方は教えて下さい。

46.「娘歌舞伎花」

WW 03冬 和調小花コサージュ

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コレクションで見た瞬間に「段鹿の子!」と思ったコサージュ、いろんな配色のものが出ていましたが、わき目もふらず買うならこの赤×水色と決めていました。

赤×水色なんて、西洋文化の配色が浸透した現代の日本では珍しく見えますが、江戸時代までは普通にごろごろしていた配色で、今や歌舞伎などでしかお目にかからなくなりましたが、「段鹿の子」の色といえばピンとくるでしょうか。
西洋の赤と西洋の水色で組み合わせたら奇異な色合わせになりますが、日本古来の赤と水色を合わせればベストマッチという、民族文化の伝統の不思議なのです(ロイヤルブルーとフューシャピンクの取り合わせに似ていると思います。あれを日本の青と桃色でやったらとんでもないことになる)。

冬企画の商品ですが、和調にしては花の種類を特定できないコサージュなので、季節に関係なく通年使えるのが便利です。みとせは夏の綿無地ミックスの和調仕様によく使っております。シーチングやローン、デニムなどのシンプルコーディにアクセントとしてつけて、足元は下駄(笑)。お気軽和調の出来上がりです。

和調は服を買うときも赤を意識して色を選ぶのですが、このコサージュは水色ベースでも、赤が入っているため他の企画の和調にもそこそこ使いまわしがききました。
この上はせっかくなので頭コサにも活用したいと思っております。

リリアンの房がついた和調の小花コサージュ。
小花の型そのものは普通の洋風なコサージュに入っているものと変わりないのですが、花弁の色の合わせ方に「和」趣味がよく出ていると思います。
だらんと下がった房も簪の風情で和風を強調。

44.「支那の踊り子」

ケイタマルヤマ 02牡丹コサージュ

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数少ない非カネココサージュ、ケイタマルヤマの巨大牡丹。ちなみにこのコサージュはケイタマルヤマといってもメインの洋服の方ではなく、ケイタの和服ラインの方から出ていたものです。毎年新作が出るので密かに楽しみにしてるんですが、このシーズンは他にも菊とか桜とか椿とか水仙とかいろいろありました。一番欲しかった菊が似合わなくて泣く泣く諦め牡丹を購入。菊はさらにでかかったです;

カネコと同じく染花さんが製作を担当していますが、やっぱりブランドカラーが出るというか、葉っぱの造りがカネコのよりひらぺったい感じがします。そんで全体に色味は濃い目というか、シャープな感じ。こういう微妙な差異は、外注に出している小物といえども「ブランドを統括するデザイナーの目とセンスを通過したもの」なのだなあと思う瞬間です。

これをこう、着物姿の後ろ頭とかにごーんとつけたりします。民族調にもあわせたりしますが、おまえは支那や上海の踊り子か、って感じです(笑)。

でっかすぎて胸にはつけられない(顔や肩の大きさに対してバランスがあわない)ので、主に頭か帯の根付位置用。着物着てても非カネコミックスでもコサージュつけたい悪あがき(笑)。

或いはバッグに飾ることが多いのですが、無地のグラニーバッグにどかんとつけるとすごい存在感で、着物だけでなくアジア服にもよく合います。そんなわけで牡丹のくせに意外と通年で活躍してくれたりする密かなご便利アイテムなのですが、カネコの和調には全然合わない(笑)。ブランドの違いってこんなに出てしまうのねーと、さすが個性的なデザインをするデザイナーってのは作品にも強力に我が出るもんなんだなあと、ある意味感動もしました。

髪につけたアンバランスなほど大きな花飾りは、まだ小さな少女の身で花を名乗らねばならないような、そんな哀しさを感じさせる使い方な気がします。昔昔の日本のまだ幼いくらいの年齢の祝言や、支那の踊り子の小さな手足。ノスタルジックでドラマチック、非日常の世界。あまりできない使い方ではありますが、許される場と見合うコーディネイトがあればインパクトは大。たまにはそんなダークなノスタルジーに浸るもの悪くないと思います。

直径15センチはあろうというケイタマルヤマの巨大な牡丹のコサージュ。古布といって、昔の着物を解いた布でできてます。よく見ると花弁に絞りの柄があったりしますでしょ?

ケイタマルヤマのコサージュも、実はカネコと同じく染花さんで製作を担当しているそうです。

botan-km00友人の結婚式にて。一応アンティークに入るのでしょう、ふるい錦紗の着物とのコーディです。カジュアルな披露宴で友人としての招待だったので、小物の格を崩したコーディネイト&着方で参列させて戴きました。友人に一応事前に「多少崩してても平気?;」ってきいておいたんですが、「ネタ歓迎~♪」とのお許しが。

「いやー、当日ばかりは自分じゃネタやれないからね、花嫁は」と言って笑う素敵なMY友人…。
カネコ服も着物もこんな風に着たらけれんを拭いきれない衣服なので、ある意味一発芸的なネタではあります(笑)。

40.「村娘の枝簪」

WW00夏 昼顔と木の実コサージュ

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わたしにしては珍しいミックスカラーで木の実付きなのですが、それもそのはず、実はこれは自分がショップで購入したものではなく、知人から「うまく使えなかったから」ということで譲り受けたものなのです。

ミックスブーケはほとんど(というか、ミックスカラーブーケは全くといっていいほど)持っていないので、上手に使えるのかな…と心配してたんですが、実際使ってみたら、多色遣いのため「ブーケに入っている色には分量に気をつけさえすればたいがい合わせられる」という驚くほどの使用半径を持っていて、戴いて3日後には軽めの和調コーディには欠かせない存在となっていました。…というわけで、もう頼まれても返さないのでよろしく、Kさん!(笑)

実はわたしは和調は赤を意識して着ている(地色が赤でなくても、赤の入り具合とか、そういう部分で)のと、軽めコーディの和調にはGジャンを羽織ることが多いんですが、このコサージュ、そのふたつに合う条件をきっちり満たしているんです。赤が入ってて、青が入ってる。全体と房は白ベースだから濃い目の色につけたほうが映えるし、無地ものコーディもこれひとつで和の雰囲気にチェンジできるので、赤い鼻緒の下駄つっかけてがっこんがっこん歩くのに最適です(笑)。

勿忘草をはじめ、いかにも”そのシーズンに使った花をちょっとずつ寄せ集めた造り”のこのコサージュ、和調にこの型の薔薇が入ってるところとか、ベリー系の実が入ってるところとか、コサージュとしてのまとまりで見たらちょっと強引だなあって思ってしまう部分もあるんですが、その寄せ集め感がある意味で、簪ひとつ自由に買えない貧しい家の子が、それでも少しはきれいにしていたくて、軒先や山野で少しずつ集めてきた花を飾ったような、そんなふうにも思えないでもない。

偉そうなご大層な花魁コーディでもなく、お上品な上流階級の和服のイメージでもなく、自由に平素に当たり前に着る衣服、自分が織の着物や浴衣などの普段着着物を着るその感覚のままにつけていきたいコサージュです。

40kusudama_ww00_02昼顔に薔薇に、勿忘草に木の実にと、そのシーズンに使った花をとりまぜたこのコサージュ、一種の寄せ集め的なあり方(笑)。ブーケ部分は直径8センチくらいと小さめ。房はリリアン。房がついてしまっている上に、薬珠状のまとめかたなので、どうやっても和の雰囲気になってしまう用途限定のコサージュ。

見る方向によって全然顔が違うこのコサージュ、右半面を見せている上の写真と較べると、左半面のこの写真では色の配分からしてかなり別物。右半面は白~淡ピンク、左半面は青が強い。つけるとき両側から見てなじんだコーディになってるかチェックしてます。

36.「手毬、簪、花くすだま」

WW 02秋 撫子コサージュ

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4色展開で結局全色買っちゃった撫子のコサージュ。WWの縮緬和調とのコーディ商品だったんですが、撫子コサなのに和調の柄は何故か「芥子と南天」柄。しかしよく見ると、和調の柄の方にもちゃんと撫子が入っているのでした。黒地のプリントには白の撫子。色目によってちょっとずつ違ったみたいです。

素材もマットなもので仕上げてあって、房もついていて、確かにパーツそのものも『和』を意識していると思うんですが、何に一番和を感じるかといわれればこの花の組み方。ぽんと球く組んである。通常のコサージュ、西洋風のブーケはこんな組み方はしてないです。もっとフラワーアレンジメントみたいに三角が基本の立体的な組み方になってます。なのにこのコサージュはわざところんとまんまるに組んである。あどけないというか、計算がないというか、ある意味ですっぴんぽい隙だらけな組み方。花くすだまや簪、手毬に似ています。隙で『和』を表現するっていうところに、プロのセンスを感じました。わたしは和調の服のみならず、綿ローンや、果ては着物の根付の位置につけたり、髪にどどんとつけたりも平気でしています(笑)。

しかしこのコサ、とにかくかたちが崩れやすいです;; 花びらもすぐあっちこっち向いちゃうし、葉っぱもすぐくるんと奥まってしまう。房も紅葉のときみたいなリリアン房じゃなくて、これは綿糸の房だから、すぐ絡まってばらばらになっちゃうし。つけるたびどころか、つけていながらでもときどき手で直してあげないといけない。

そう、それで、「直すのなんて簡単じゃん、ちょちょいと手で伸ばして方向を整えて…」って思っていたんですが、最近「直し方がわからない、どの方向をむければいいのか皆目謎」と何人もの友人から言われまして。そうか、そういうもんなのか、と。それじゃあなおのこと、初心者さんには整える必要のほとんどない一輪雛菊、或いは一輪モノでも葉っぱの少ない一輪梔子、や一輪薔薇がいいんだなあと改めて思いました。

…そっか…それじゃあ、これは、可愛いけど初心者にはオススメできないコサの典型なんですね…(汗)。
撫子の特徴である花の縁のぎざぎざや表面の模様がよく再現されてます。4色展開でしたがこのピンクのくすみ具合がツボに入りました。葉っぱは毛足のある素材、花はたぶん小しぼの縮緬。マット感がまた和風です。

36nadeshiko_02ww_02リボンは和調の南天と芥子柄のちりめんでできています。コーディ商品の証(笑)。カネコの綿房はどれも妙に凝ってて、表面をすこしずつ取ってまわりにぐるりとまた小さな房ができるように、飾り結びを入れてあるのがデフォルトのようです。そんな無駄っぷりにも惚れました(笑)。

29.「彼岸より」

KI02秋 曼珠沙華コサージュ

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こんなもん金子功以外の誰がつくるというのだろう。曼珠沙華、つまり彼岸花のコサージュ。不吉な花の代名詞、”シビト花”だの”幽霊花”だのろくな別名を冠していない花。見た目の色の血のような赤や、彼岸時期に群れ咲く姿、おあつらえむきに球根には毒があるという。評判が悪くても仕方ないというほど条件が揃ってはいるけれど(でも処理すれば実は球根は食べられるらしく、実際飢饉のときはこの花の球根が食料になったこともあるそうな)。

それでも彼岸花は大好きな花。細い花弁と細いしべの、複雑でレェスのような細工。端正な立ち姿は百合にだって劣らない。
この花の暗くて鮮やかな赤が群生する様は、晩夏の厳しい真昼の眩暈のよう。

母の実家がかなり最近まで土葬で、その墓地まで行く坂道(というか崖に近い斜面をぐるぐるまわる道)に添って、崖の上のほうにずっと群れて咲いていた。とろうとすると母に叱られたのを憶えている。縁起の悪い花だからと。親しい人たちの眠る場所へのみちを飾る、この花のどこが不吉だろうか。わたしは少しもこわくないのに。この花も、眠る人も。彼岸から咲き出る花ならば、形見に持って帰りたい。つながるのなら届けて欲しい、此岸から彼岸へ、ただ一言なりと。

白の曼珠沙華がたまにあるけれど、あの白い大輪も大好きで、今回思わず「白は出ないんですか?」と担当さんにきいてしまい、担当さんを困らせた(絵型解禁前にそういう情報は喋っちゃいけないのです。ちなみにこの曼珠沙華は絵型解禁日に入荷だったので、当然色展開などの情報は事前に耳に入れてはいけません。担当さんゴメンナサイ;)
最初の生産数はなんと全国30個。あまりに人気で再生産がかかったそうです。本物そっくりに波打つ花弁の縁、太く巻かれた明るい緑の茎と、赤いべがとても繊細で大胆。曼珠沙華の時期には夏の風情に敬意を表し夏らしく、時期が下ったら花そのものの存在感を活かしたつけたかたをしてみたい。

花弁の裏も灰がかったピンクで裏打ちされて、しべも暗い赤で巻いてあって、驚くほど実物に忠実。同柄コーディのみならず、和調にも、無地の黒にも白にも何にでも合う、意外な万能コサです。
実物はもっといい色なんですが、何度やってもうまく撮れないのでこのへんでカンベンしてやってください。

29higan_02ki_02裏側にはベージュピンクの薄い皮膜の裏打ちまでしてあって、実に本物そっくり。ひとつ違う点は、ほんとは天頂部には花がついてないことです。でも胸に飾るときに天頂部がスカスカだったら、一番目立つ部分に花がなくなってしまうので、アクセサリーとして換骨奪胎したのでしょう。

新しい種類のコサージュを作るときは、まず本物の花を解体して、構造や花弁の形・枚数、がくの形などを調べるところから開始するものなのですが、これも間違いなくそのようにしたんだろうなあ…絵を描くときもリアリティを追求するためにはデッサンて重要なんですけど、立体でもそれは同じなんですね。

23.「夏の幻」

KI00夏 朝顔コサージュ

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夏の花といえば、洋の向日葵・和の朝顔。…と、わたしの中では知らぬ間に定着していたりします。
日記やら作品やら見ていただいたらわかる通り(笑)夏の花にとんと縁がないわたしは、ひまわりのプリントもコサージュもずいぶん出ているんだけれど、服も小物もひとつも持っていません。

わたしには色味もキャラも残念ながら似合わないとも思うし、あんなに生命感のはっきりしたものを身につけたら、肌から浸透してくるプリントの強さに自分本体が負けそうです(笑)。うーむ、脆弱。

夏の花は大概色が強くて、明るすぎる故にどことなく不吉な感じを覚えるのはわたしだけでしょうか。
実は朝顔もひまわりも、わたしにとってはどことなく死者を思わせる花です。ひまわりは墓標に、朝顔は幽霊に似ている気がします。
朝顔の羽衣のような薄い白い花弁は、白装束に似ている。ほんの明け方だけに咲いて、陽射しとともに消えて行く様は、ほんのりと浮かぶ幻の人影のようで儚い。

暑い日には家から出られず遊びにも行けず、戯れに家の窓に咲く朝顔の花弁を水に溶いて、淡い絵の具で意味のない絵をかいた遊びは今思ってもなんだかせつなくて、その花と同じように果敢無い気がする。

01年にも朝顔のプリントが出たのであわせてコサージュも出たんですが、これは00年の。朝顔のプリントなんて出なかったのに、ぽつんとこんなコサージュが出ました。チェック薔薇ブーケ柄の中に小さく朝顔が入っていたので、そのあたりに合わせたのでしょうか。
01年の朝顔も見たんだけど、こっちの00年ののほうが可愛いと思う。これは花弁を2枚はりあわせて仕立ててあります。01年のは花弁が一枚仕立てで、つぼみもなし。
和調のものだけでなくベトナムやチャイナなどアジア系のものとの相性もいいので、エスノ雑貨やさんで買った更紗のスカートやカットソーなんかと合わせてけっこう活躍しています。

21.「春の朧」

コサ館 八重桜コサージュ

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菫が続くはずだったんですが、せっかく世の中そういう季節なので、今回は八重桜のコサージュを。これ、実はカネコ系のコサではないんです。コサバカ仲間コサ館のマダムコサージュ様のオリジナル。(なのでお問い合わせとかはご遠慮ください、ごめんなさいです;)

この02年の春本当に久しぶりに金子氏の桜柄がWWから発表されましたけど、桜コサージュは出なかったんですね。ずっとずっと前、PHで桜柄が出たのは80年代後半で、もう10年以上も経ちますけど、そのときは桜のコサージュが出てました。…でもね、わたしそのコサージュあんまり好きじゃなかったので、買いませんでした。桜は大好きな花だけにこだわりが深くて、花弁の薄さとか色の儚さとかのディフォルメ具合がわたしの感性でみている桜とは違ってて、そういうところに満足できなかったのです。

着物用に出てる和小物の桜のかんざしとかもワタクシ的には全然ダメで、あんなの桜じゃないやい!と主観的には思う。だから桜だけは、桜の季節に生きた枝をほんの短い間だけ髪に飾るのを至高の贅沢と考えていました。

そんなわたしですが、この八重桜はきれいだと思いました。薄い薄い素材を幾重にも重ねた花弁、白と見紛うほどの儚い色を刷いた花。本物の八重桜はもっと色が濃いんですけど、この儚さこそわたしの中のさくら、春の空気にとける朧の色なのです。八重桜とそめいよしのの中間みたいな、どこにもないまぼろしのさくら。どちらかに完全によせちゃっていたらここまできれいじゃなかったと思いますし、一重だったらすごくさびしい花になっていた気がします。一重のさくら、そめいよしのより、八重桜はコサージュにディフォルメするのに向いているのかもしれませんね。

いくら気に入ってても、さすがに桜とじゃぱにーず(笑)、感性としてオールシーズンつけられるってわけにはいかないのですが、冬から春にかけては散る花を惜しむ気持ちで活躍させます。今年のWWの桜柄も手元にあることですし、あわせてこれをつけてでかけたいと思います。

コサージュ好きが昂じてコサージュを作り始めてしまったおともだちのオリジナル。小さめなところもまたお気に入りで、ひとつでつけるのはもちろんのこと、似た素材のオーガンジーの薔薇なんかと重ね付けしたりもして使っています。茎の色がとてもきれいに桜らしい。
規格品ではないのでまさしく一点もの。HPで以前カウンタプレゼントをやっていらしたときに、偶然前後賞を踏んだときのプレゼントがこれでした。いただいちゃったわたしはとても幸せ者です。

07.「花房の優美」

KI 01春 藤コサージュ

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01年の春でいちばん気に入って楽しみにしていた藤のコサージュ。藤の花房の長くそよぐラインも色も、やわらかくてたまらなく優美。こんな風情の女性になれたらと憧れる。

実物を見てもとても出来がよくて、大満足で購入。
購入当時はまだ和調もそんなに出てなくて合わせるものに困ったりもしましたが、その後手持ちのアイテムと無理矢理(笑)合わせてみたり、和調を追加で買ったりしたおかげで、今はパープルの綿ローンやキナリのニット系、和調の縮緬、着物など、いろんなものに活用できてます。

こういうコサージュは、カネコ系だったらしんなりしたポリエステルやニットものといちばん相性がいいです。でなかったら、綿ローンのAライン。つまり、着物っぽい縦線とSラインのある服がいいんです。(或いは、別物になりますけどシノワ。)

しかしこのコサージュ、いつものカネコパープルと違って色が渋いため、パープル系コサに定番の黒服につけると沈みます。白だと寒いし。できれば淡色のやわらかくて渋めの、友禅みたいな色の服、カネコだと渋ピンクなどが好相性のようです。
これを買うまでは、ポリは手入れがたいへんだし、ストレートな服は貧弱なのが目立つからと思ってついつい避けて通っていましたが、おまけに白黒寒色はたくさん持ってても中間色はほとんど持っていませんでしたが、このコサージュを使いたいために避けて通っていた分野に足を踏み入れることが出来ました。主客(服と小物)逆転着道楽のケモノミチ。

優美で美しい女性にはまだまだ程遠いですが、始めの一歩が何より大事。…そう、まずはかたちから(笑)。
葉っぱのかたちもよくできていて、配色も微妙ですご~くお気に入りの一品です。茎を巻いた布の色がなんとも風情のある色。絵型解禁の時点から既に2個予約してました(笑)。胸に飾るなら重ねてつけると可愛いと思ったので。ひとつだけをかんざしのように髪に留めても美しいです。

季節限定コサージュのくせにけっこうよく使っているため、しかも複数あるのに重ね付けデフォルトで使用しているため、どの子も既に若干やれてきております(涙)。新品のように美しい画像ではないですが、ご容赦くださいまし。

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裏から見たところです。実は裏から見ても花の面がよく見えて美人さん。しかしひとつ難を言うなら、コサージュピンの向きが、枝垂れる花房の方向(つまりつける方向)とクロスしちゃってること; 型の都合上仕方ないんですけど、つけるとき手の方向に困ります(笑)。