41.「老女優の誇り」

KI02冬 一輪薔薇コサージュ

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みとせにしては珍しいベージュトーンのコサージュ。中央がベージュブラウン、中間がベージュピンク、一番外は白に近いほど薄い色の3段階に染め分けられています。 花弁のかたちも少しずつ違うみたいで、フリル状の縁とかの一箇所一箇所それぞれがすごい細心の細工になっている。

数え切れないくらいの枚数の花弁を使って仕上げてあるんですが、それなのに全然重くもないし、厚みもなくて大きさの割には据わりがいい、よくできたコサージュです。軽いのは花弁が多いことに加えて、素材にシルクを使ってるせいだと思うんですが、さすが、お値段もかなーりいいお値段でした。一輪薔薇でリボンとか房とかのオプション装飾なしなのに、これ、2万以上しました;; 高価なものには高価なりの理由があるものです。

花にも勿論惚れたんですが、葉っぱフェチみとせ的には、この中の一枚だけかたちの違う細長い葉っぱを特筆したい。一枚だけなんですが、葉っぱの途中から斜めに黄色と茶が混ざったような色で染め分けられているのがあって(右端の飛びだしてるやつです)、その葉っぱはわざとくちゃっと真中から縦に折りたたんであって、さらに横にもねじくれて曲げてあって、もう枯れかけなんだか病気なんだかっていう汚い風情にしてあるんです。それがすごくいい。

枯れかけの花の独特の風情、もとが美しいものであるからこその凄みと艶、蓄積されたその生の歴史。そういった非凡なはずのものを、なんでもなくおさえこんで自然にいられる気品。老女優のプライドのようなコサージュだなと。そして自分も長じたならば、そんな在り方のできる人間でありたいものだと思うのでありました。

シックなベージュ系の一輪薔直径10センチ以上の大輪です。花も開ききって中央の花芯がみえているし、花弁の色も枯れ色ですが、実は葉っぱもけっこうねじくれていて、全体が枯れ気味の風情です。枯れかけた花って独特で好き。