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◆華ヤカ哉、我ガ一族FD「キネマモザイク」OPを担当

ご無沙汰のみとせです。9月2日のやなフェス、そして9月11日のクラシックアラモードと、ライヴにおいで下さった皆様有難うございました!
御礼やレポを書きたいのはやまやまなのですが、その前にご報告が一点あるので今日はそちらを。

「華ヤカ哉、我ガ一族」のファンディスク「キネマモザイク」のOP曲の作詞とヴォーカルを担当させて頂きました。火曜にOPムービー公開、と伺っておりますが、明日でなくて来週火曜だったらゴメンナサイ;;

http://www.otomate.jp/hanayaka_kinema/

作・編曲は「カタン<第二集>」でも「黒猫のタンゴ」他で静謐なのに変態でかっちょいいアレンジをして下さった吉野裕司さんです。今回も吉野さんお得意の弦楽四重でのアレンジで、演奏は弦一徹ストリングスというたいへんマニアックな面子ですが、吉野さんのCPUすごすぎな脳髄から溢れ出る独特のレトロ&クラシシズムに吉野エッセンスを振りかけた素敵な楽曲になっております。
みとせ自身が吉野さんのファンで、吉野さんにポップをやらせたらどうなるんだろう?でも絶対吉野色を色濃く残した口ずさみたくなるメロが出来るに違いない!と思ってお願いしましたが、まさにそのとおりになりました。しかしカラオケに入ったら唄い難さ抜群!(ぉぃ
曲タイトルは「キネマモザイク」とそのままですが、自分の中では新キャラ様に敬意を表して「薔薇(ソウビ)の筆跡」というサブタイトルがついております。

大正時代の華やかで刹那的な雰囲気を盛り込みつつ、シナリオも読ませていただいた上で歌詞や編成を決めました。デジタルのなかった時代の物語ですし、作中のとあるシーンも鑑みつつ、ここは時代感とのシンクロを大事にして弦で全部生!と思いまして。歌詞もみとせの大好きな大正浪漫文化をこそりこそりと盛り込んでおりますれば、ゲームのファンの方のみならず、大正昭和好きの方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。

そんなわけでOPムービー公開をどうぞお楽しみに!
せっかくなのでバナーは新キャラ様で。

「華ヤカ哉、我ガ一族 キネマモザイク」公式サイト

◆夏コミ参加情報:サークルWAVE「隻眼のエデン」

本日12日より開催になる夏のコミックマーケット、2日目13日音楽サークルさんの作品への参加情報です。直前になってしまって申し訳ありません!

サークルWAVEさんの新作「隻眼のエデン」に2曲参加させて頂いております。

「隻眼のエデン」は2019年、架空の近未来世界「海上完全管理都市TOKYO」を舞台としたオリジナルコンセプトアルバム。世界観設定からコンセプト、楽曲制作などもMorriganさん主導で制作されています。
みとせ参加曲は、1曲はまさに祝詞というような楽曲「Tr8:踊 – kamuy rimse -」。揺らぎのあるプリミティヴなヴォーカルはジャパニーズmeetsブルガリアンヴォイス。謎言語はアイヌ語がベースと伺いました。
もう1曲は「tr5:AMATERAS SYSTEM – the fifth force -」。名塚友梨さんというヴォーカリストさんとのデュオで、こちらは幻想的で壮大な多重録音になっております。

みとせの参加曲は全体から見るとやや異色ですが、他の楽曲もクールかつ熱く、スタイリッシュさとプリミティヴさを併せ持つ素敵な楽曲ばかりです。下記バナーより特設サイトへ飛べば試聴もできますので、是非聴いて下さいませ。


WAVE 「隻眼のエデン」 オリジナルコンセプトアルバム

■イベント名:コミックマーケット80
■サークル名:WAVE
■配置:土曜日(8月13日)東地区 “A” ブロック 59a

酷暑の中のコミックマーケット3日間開催、皆様どうぞ熱中症やお怪我にはお気をつけて、水分と栄養と、難しいかもしれないけど睡眠!睡眠をちゃんととってくださいね!

では皆様、いくさ場へいってらっしゃいませ。ご武運と戦果をお祈りしております。

◆9/11声楽士Dahnaソロステージin「クラシックアラモード」にゲスト参加

さらにもうひとつ、9月のライヴゲスト出演のおしらせです。

9月11日、ゴシックイベント「クラシックアラモード」にて行われる伝承歌劇団・声楽士Dahnaさんのソロステージに、みとせのりこも出演させて頂くことになりました。Dahnaさんはアルトネリコ2の「こころ語り」でクロアの唄をつとめて下さった方で、ヒュムノスミュージカルのクレア・スピカでは月奏ディアンの唄を担当されています。(さらに言うとヒュムノスミュージカルベスト版の「ウィンディリング」はDahnaさんのアレンジだったりします。)

今回はDahnaさんのソロステージですが、伝承歌劇団の流れを受け継いだ物語仕立ての朗読+音楽のライヴになります。みとせは朗読とコーラス、そしてヴォーカル少々での参加です。

ひとつの宝石を中心に語られる物語と歌声のハーモニーをお楽しみ頂くべく、物語から演出、選曲を含め現在鋭意準備進行中。30分ほどの出演時間の予定ですが、30分とは思えない濃い(笑)内容になるかと思います。

【 Classic Alamode 08 -2th Anniversary-】
企画:Goth&Loli Heaven 協賛:ARTiSM

★アンダーグラウンドクラシカルワールド!!
★2th Anniversary!!

2011.09.11(sun)
Open&Start 16:00 Close 22:00

adv/w/f:¥3000 (+1Drink) day:¥3500 (+1Drink)
※学割:18歳以下は1000円割引(年齢の分かる身分証明書提示)

池袋 LIVE INN ROSA(03-5956-3463)
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-37-12 ロサ会館B2F
1-37-12, Nishiikebukuro, Toshima-ku, Tokyo ROSA Hall B2F
(JR山手線池袋駅西口を出て徒歩2分)

チケット予約は既に受付中。クラシックアラモードサイトの下部リンクからでも可能ですし、Dahnaさんのブログからもご予約お申し込み頂けるようになるのではないかと思います。

ゴシックイベントとは申しましても特にドレスコードがあるわけではないので(確かにちょっと個性的で特化されたイベントではありますが)、平服でも全く問題ないです。ちなみに18歳以下の方は学生割引(1000円、要身分証明書)がありますので、学生さんは是非割引使って下さいね。

みとせのりこも昔取った杵柄で会の雰囲気に反しない程度には頑張ってみようと思います(汗。
ゴスっていうかヴィクトリアンていうかアンティークっていうかになっちゃいそうですけど…。
個人的には女子の皆様の素敵なお姿に期待。
あ、でもヨルガのときには殿方もキモノの方や洒脱なベストで英国風にキメた方が来て下さったので、オサレやゴシック、アンティークのお好きな方には是非是非ご自身のコーディネイトまで込みで楽しんで頂きたいです。

◆9/2 ライヴ「YANAGINGAR FESTIVAL」にゲスト出演

またも少々のご無沙汰あいすみません。
夏に打ち克てずしばらく療養状態だったみとせでございますが、なんとか復帰しました。
ここ何日か涼しいので非常に助かってます。

さてさて、復帰と同時で慌しいですが、まずはライヴへのゲスト参加の告知など。

9月2日、アルトネリコ2の「染」などでお世話になっている柳英一郎さんのライヴにゲストとして参加させて頂くことになりました。

「Yanagingar Festival! 」
9月2日 at 渋谷MilkyWay
Open:17:30 Start:18:00
Charge:前売り¥2800 当日¥3200(いずれもドリンク代が別途かかります)

<出演>
柳英一郎
民安★ROCK
LAZY GUNG
Erotic Beast Kingdom
FullMooN.13
Guest みとせのりこ

http://fanatasista.com/_event_html/2011_09_02_Yanagingar_Festival/

続報は柳英一郎さんのサイトへ。問い合わせなどもこちらへお願いします。

参加曲数は少なめだと思いますし、またもやひとり盛り下がりキャラ(汗)のみとせですが、よろしければ遊びにいらして下さい。盛り下がりキャラなりに派手な曲を頑張ります…!

◇みんな夏のせいね。

「カタン<第二集>」のライナーノート、5曲目まできた後ちょっと間が空いてしまってすみません。
書きためていた続きの文章がPCのトラブルでファイルごと飛んでしまいまして、あまりの衝撃と、おまけに突然真夏のようになってしまったこの7月の気候にへみょへみょになっておりました。

おりました、っていうか、実際のところおります、なんですけども。

頭を下げてから起きると目の前が暗くなるし、内臓の位置もカオスな感覚になってまいりました。
まさに夏。
これがあと3ヶ月続くんだなあと思うと心もカオス(というかむしろダークサイド)になってまいりますが、暗黒な真夏の翳深き妄想でせめて魂の温度を下げつつ乗り切ってみようと思います。

「カタン<第二集>」のライナーノートもせっせと書き直しておりますので、近日には再開したいと思います。唱歌トリビアになりつつあるライナーノートですが、楽しんで頂けていれば幸いです。

「カタン<第二集>」といえば、現在発売中の雑誌「Spoon.」に鳩山郁子さんの特集が6ページ組まれておりまして、その中でジャケットイラストを掲載して頂きました。鳩山さんのインタビュー、カラーイラストや写真も満載の充実した特集ですので、鳩山さんの作品や少年モチーフのお好きな方は是非是非ご覧下さいませ。

*
それにしても「Spoon.」を見てちょっと驚いたのは、巻頭の特集がドラマ「鈴木先生」だったこと。原作者の武富健治さん、実はわたしが高校のとき所属していた漫画研究部の部長さんでした。つまり先輩です。わたしが昔むかし描いてた漫画も純文学風とか幻想文学風とかよく言われていたんですが、武富先輩の作風はわたしよりもさらに純文学で、そのおかげか先輩とは勝手ながら同志的な感覚があり、純文学漫画の可能性について語らったりするようなヘンテコな高校時代でした。純文といいながら、どこか反体制的な精神はお互いあって、わたしはココロヒソカに「純文パンク」(←戸川純かい!)とか思っていたんですが(笑)。その先輩がこうして作風を変えないまま高い評価を受けているのを見て我がことのように嬉しくなってしまったので、思わずこんなところに書いてしまう次第でした。

わたしは紆余曲折あって漫画から音楽に転向しましたが、この唱歌アルバム「カタン」シリーズを振り返ってみても、やっぱり自分も「純文パンク」の精神引きずってるなーと思います(笑)。引きずってる、というより保持している、ということなんだと思うのですが。
どんなに不器用でもあんまり一般受け(笑)しなくても、自分は自分以外のものにはなれないので、これから先も自分らしくせいぜい頑張ってみよう、と思うわたくしなのであります。

自分を貫いている美しい人たちに力をもらったこの頃です。

◆[Note:05] 花嫁人形 [カタン<第二集>]

4曲目の「とおりゃんせ」から引き続き「カタン<第二集>」のホラーゾーン(笑)を形成する「花嫁人形」。ホラーといえば(?)この方、アレンジは鬼才・弘田佳孝さんです。弘田さんは前作の「無印カタン」でも「曼珠沙華」でひんやりとした怖いけれど美しい弘田節全開のアレンジをして下さいましたが、今回も同じ系譜に属するアレンジ。というか、さらに内向的に進化したというべきかもしれません。

この「花嫁人形」という曲、「花嫁」という人生で最もめでたく幸多い瞬間に関わるもののはずなのに、何故か曲調も暗く、詞にも婚礼に相応しからぬ「泣く」「切れる」などの言葉が続々と出てきます。どう聴いても幸せそうには思えない、と聴き進めていくと、花嫁御寮を唄っていたはずの詞は最後には人形にすりかわってしまう。なんとも不条理で不安で、だからこそ詩的な世界観。(この不条理だけど不安定で控えめに耽美な感覚、他にも何処かで…と思ったら作詞家の松井五郎の詞に同じ血を感じるのでした。)
似たイメージの曲に「うれしいひなまつり」などがあるのですが、唱歌の中にある女子の祝い事に関わる曲は何故か物悲しさを感じるものが多いのです。この矛盾は子供の頃からわたしの心の中に抑圧的なイメージを生み、独特の翳を残しました。
数多の悲しみや不条理を喉元へ押し込め、飲み下したそれは胎内で一種の呪いに似た感情に孵化する、この曲にはそういった「少女の業」のようなものを感じずにはいられない。「曼珠沙華」よりもさらに静謐に硬質に冷たく、肉体性を排除したかのようなアレンジと強い感情表現を抑えた声で語られる「花嫁人形」には、まさにその「秘めたる感情」が通底しています。しかし異性でありながらこういった感情や「業」を理解でき、表現できてしまう弘田さんという人は、やはり特殊な感性を持っているのだな、と思います。

*
作詞は当時人気の抒情画家でもあった蕗谷虹児。挿絵画家、作詞家、フランスでの画家活動、戦後はアニメの製作にも携わったりと、様々な顔を持つマルチプレイヤー。当時の抒情画家はどちらかといえば幼さを残した夢見るような少女を描くことが多かったのですが、虹児の画はモダンでシャープ。渡仏生活から得た巴里のエスプリの反映、また、浮世絵の構図をソースとして取り入れていたという話もあり、独特の隙間感とダンディズムを感じさせます。
そして虹児は「抒情画」という言葉の生みの親でもあります。「抒情詩」があるのだから「抒情画」があってもいい、とそう言って、ただ状況を説明するだけの挿画に留まらず、画の中に感傷的な余韻を残し感情や想いを伝えるような絵を、ときの少女雑誌と挿画の新しいジャンルとして啓蒙したそうです。

そんな虹児のこの曲も、みとせのりこの好きな唱歌の五指(否両手…)に入る曲ですが、そうやって数えていくととにかく子供の頃からわたしは暗い曲が好きだったんだな~と呆れざるを得ません。
三つ児の魂どんより系。

◆[Note:04] とおりゃんせ [カタン<第二集>]

やってきました通称「呪いのとおりゃんせ」。わたしの中では「アグレッシブとおりゃんせ」なんですけども(呪いというならヨルガライヴでやった「ホラーとおりゃんせ」の方が呪われそうな気がします)。まさかあの導入直後にアップテンポ de ジャカジャカ(笑)になるとは思わなかったことでしょう(笑)。

多重録音+アップテンポ、国籍不詳、前代未聞の方向性を持ったこの「とおりゃんせ」、アレンジはDaniさんにお願いしております。基本のコンセプトと声部のだいたいの構成、展開などをみとせが声だけ一発録りでがんがん重ねたDEMOをDaniさんに渡して、
「こんな感じでこんな展開で、ここで壷井さんがはいってきゅいーんでぎゅわーんで最後のBメロは楽器隊バトルでお願いしまっす!あ、Daniさんも遠慮なくベースぶいぶい弾いてくだサイ。」
とお伝えしたらこうなりました(笑)。

声だけ多重DEMOを渡したら、Daniさんから開口一番、「あのー、立岩さん召喚していいですか?」と。かくしてKBB+ポチャカイテマルコwithみとせという状態になった「とおりゃんせ」、ある意味予想通りというかある意味予想以上というか、非常にテンションの高い曲になりました。

ちなみにDaniさんが弾いているギターっぽいけどちょっと違う楽器は、Daniさん自らギターを改造して作った自家製ブズーキ。一応アイルランド出身の楽器です、ということにします(笑)、ブズーキだし。
立岩さんが叩いているのはタブラとリクといって、前者はインドの楽器、後者はエジプトやシリアあたりの楽器。
壷井さんが弾いているのはアコースティックヴァイオリンですが…壷井さんですしね…。
ベースはフレットありの五弦(普通は四弦)のはず…なんですけどDaniさんが弾くとフレットレスに聴こえる(笑)。
なんだかもうものすごい国籍混交状態です。ついでに奏者の演奏も超絶混交状態です。でも何故か和風に聴こえるこの不思議。ディレクション役のDaniさんの匙加減と配分の妙です。

聴きどころは?と問われたら、全部ですと答えるしかありません。
多重で重ねた声のおどろげなるも美しい和声や掛け合い、もうどうやって弾いてるんだか判らないヴァイオリン、パーカッション、全体を牽引するブズーキと底部を支えつつうねるベース。それらが絡み合って展開していく中に見える世界観、そして奏者の個性を心行くまで堪能して下さい。

*
原曲は言わずと知れたジャパニーズトラッド、日本のわらべうたです。江戸時代にできたものとされる説が有力ですが、歌詞の解釈には諸説あってどれも決め手に欠ける印象。なのでここには書きません。むしろこの謎の多い歌詞については独自の幻想で解釈した方が情景が広がるように思います。

実はこのアップテンポ多重の「とおりゃんせ」はずいぶん昔からわたしの中に構想として存在していて、音も鳴っていました。ヨルガライヴでやったホラーヴァージョンの方はこのアップテンポ版からの派生で作ったものです。とはいえあのスローでダウナーでホラーな「とおりゃんせ」もとても気に入っているので、いつか「ホラーとおりゃんせ」も何かのアルバムに収録したいなあなどと野望を抱いております。

それにしても、アレンジをしてくれたDaniさんはわたしの元DEMOから基本部分はほとんど変更せずにこの形に見事化けさせて(笑)下さいました。「変えるところは変えてもらって、ソロの尺も好きなだけ延ばして下さいね」とお伝えしてあったのですが、「んー、でもこれ長さも構成もちょうどいいし、変えるところないですよ」と仰ってくださって。
絶対音感もない、コードの知識もない、アレンジもできない、耳だけが頼りの音楽劣等生みとせのりこ、なんだかこれまでの音楽人生(音楽始めたばかりの頃からすごい人たちに囲まれてずーっと凹みながらやってきたので…)が報われたような気がしてとても嬉しうございました。そんな意味でみとせ個人の中でのみ、記念碑的な1曲です(笑)。
でも、ソロはきっちり一回り分延ばしてもらったけどね!!☆

Daniさん、壷井さん、立岩さん、素敵な楽器バトルを有難うございました。
ごはん3杯。

◆[Note:03] メリーさんの羊~アルプス一万尺 [カタン<第二集>]

雰囲気の違う曲が1曲ごとに登場する「カタン<第二集>」序盤の展開の最POPチューン、「メリーさんの羊~アルプス一万尺」。アレンジは”ひねトラッドPOP”バンド(とみとせは思っている)のオオフジツボさんです。オオフジツボ、と言っても分解すればみとせにとってもカタンシリーズにとってもおなじみのメンバー、太田さん、藤野さん、壷井さんですが(笑)。

この「メリーさんの羊~アルプス一万尺」のチェインは、以前Rivendellさんと一緒に唱歌ライヴをやっていたときのヴァージョンをベースにアレンジをお願いしていますが、そこにさらにオオフジツボエッセンスをプラスして頂きました。ギター、アコーディオン、ヴァイオリンの掛け合いと一体感、ポルカを挟んだトラッド展開は、「無印カタン」=1枚目の雰囲気を引き継ぎつつも「第二集」の空気によりマッチした力強さを備えています。

「第二集」では4曲ほど同時録音、所謂「一発録り」の曲がありますが、この「アルプス一万尺」も一発録り。しかも事前リハなし、DEMOだけ聴いて収録日に現場で何度か合わせて、そのまま収録に突入しました。そのため考えすぎない(笑)のがいい方向に作用したか、ライヴのような瑞々しさと勢いのあるいいテイクが録れました。個人的にきゅんときたのは4コーラス目、合いの手のかわりに入る藤野さんのアコーディオンのキラキラ感をどうぞご堪能下さいませ。

そしてこの曲は「無印カタン」でもちらほらとやっておりました、みとせのりこの補作詞あり。本来の歌詞を唄っているのは3番までで、4番~6番はみとせの書いたものです。かつてライヴでやっていたときは実は7番まであったのですが、今回は6番を割愛して5のあとに7がついております(笑)。この先ライヴでやることがあれば7までやるかもしれませんし、展開が増えたら8やら9までのびるかもしれません(笑)。というような緩さもこの曲ならでは、といえるかと思います。

*
何故この曲ならでは、かというと、実は「アルプス一万尺」、なんと29番まで歌詞があって、作者が全部バラバラだと言われているからです。
「アルプス一万尺」として知られるこのメロディ、生まれはアメリカ。スイスとかあっちの方だと思っていた方も多いと思いますが、本来のタイトルは「ヤンキー・ドゥードゥル」といって、当時のアメリカが英国兵を皮肉ったものでした。
ではそのメロディに日本語詞をつけたのは誰かというと、某大学の山岳部の学生たちだと言われています。おそらくは日本アルプスに登った学生たち、キャンプしながら適当に替え歌を作って唄い、それが代々引き継がれ、新たな山岳部員がまた続きをつくり…していくうちに、なんと29番。きっと本来はもっとたくさんあったけど、書き残されているものがこれだけだったのだろうなと想像します。ですので時の山岳部員の皆様に倣いつつ敬意を表し、みとせ流「アルプス一万尺」を一節。ひそやかに山男たちの末席に加えさせて頂いたのであります。

ちなみに1番の歌詞に出てくる「小槍」というのは、日本アルプス山頂付近の岩場の呼称で、ここが標高3000メートル強=ちょうど一万尺。つまりこの「アルプス一万尺」のアルプス、海外のアルプスではなく、なんと日本アルプスのことなんです。
アメリカ民謡が日本アルプスに変化し、唄い継がれるうちにイメージだけが残ってスイスあたりに飛んでしまうこの不思議。まさに国境を超えたノスタルジー(笑)を体現していると言えるでしょう。

冒頭につけた「メリーさんの羊」もアメリカ民謡で、なんとなく似た雰囲気のPOPさをもちあわせているためライヴでもチェインで演奏してきましたが、ライヴの際はメリーさんの部分はアコーディオン独奏でした。今回はみとせのソロアルバムで、かつ1コーラスしか出ないこともあり、みとせが唄わせて頂いております。

みとせにしては珍しい明るくPOPでキュートなこのチェイン、楽しんで頂けていれば幸いです。

…ヘィッ!☆


・「カタン<第二集>」公式サイト
http://www.team-e.co.jp/sp/cotton2/
ティーム・エンタテインメント

◆[Note:02] 椰子の実 [カタン<第二集>]

アマゾンさんの在庫もちゃんと復帰して、メールフォームやツイッターからもぽつぽつ到着報告など頂いております。ああよかった、安心しました!予約してあった筈なのに発売日に届かなかったときのがっかり感と言ったら、みとせ個人も一リスナーとしてCDを買ってそうなった場合を考えると100がっかりくらいは行くので、お察しすると共に申し訳ない気持ちでいっぱいですが、待った分たくさん楽しんで頂けたらとても嬉しいです。

さてさて、本日も「カタン<第二集>」について行ってみたいと思います。ご興味のある方はどうぞお付き合い下さい。

*
2曲目は「椰子の実」。1曲目の重さと物悲しさを払拭するウォームな印象の曲です。…と言いながら、実は歌詞はかなりせつない望郷の詞なんですけれども。
この曲もアレンジは太田さん。
太田さん編曲が冒頭から2曲続きますが、太田さんはこの「第二集」では前回のRivendellさんが担っていたポジションを担当しています。つまりアルバム全体の「背骨」です。1枚目と2枚目のカラーの違いはこの背骨役の方の音楽的キャラクタァによっても方向付けられているように思います。

この曲に関してはみとせの中で、ギター主体でウォームにやわらかく、というある程度明確な方向性があって、この雰囲気のものをお願いするなら太田さんしかいない、と思っていましたので、実は最初から太田さんご指名と心が決まっていました。太田さんの奏でる音そのものがこの曲の「ウォームさの中にある寂寥」というイメージにぴったり合っているので、太田さんが弾いてくれたらそれだけで大丈夫!くらいに考えていたのです。が、太田さんから上がってきたアレンジデモを再生したら、なんとそこにはウクレレが。
直球といえば直球なのかもしれませんが、思わず”ニヤリ”としてしまったわたくしでした(笑)。

こういう拡大解釈は大歓迎。ハワイの楽器であるウクレレの、緩く張られた弦の響きのおかげでゆったりした空気感とウォームさが増しました。
と、いうか、なんだかもう温くて汐の香りがする風の手触りが浮かんでしまって、今すぐ沖縄とか宮崎とかに行ってアロハとか浴衣とか着て海辺の家の窓辺でゆるゆる風に吹かれながらオリオンビールとか焼酎とか飲みたい!!!!(←ノンブレスでどうぞ)と思ってしまいました。おかげでこの曲を聴く度オリオンビールが浮かびます。パブロフです。…って脱線しましたすみません。

ちゃらりちゃらりと小さく刻む弦は寄せて返し足首を洗う汀の波、その細波に身を任せてたゆたえば、弦楽四重の夏風がゆるりと吹き抜ける。間奏抜けのツリーチャイムは黄昏の垂帳の裳裾たなびく一番星のきらめき。やはりここでも太田さんのアレンジはそれぞれが明確な姿を持って絵画的な風景を成す。

太田さんの曲で演奏して下さった弦楽四重奏チームは珍しいことに全員が女性で、そのせいか音にも感性のやわらかさややさしさが表れているように感じます。…と言いながらも弦四の皆様クラシックだけでなくジャズからプログレまでこなせるやはりというか「こちら側」ニュアンスの方々でしたが(笑)。弦四の写譜は「月の沙漠」でピアノを弾いて下さった鶴田萌子さんが担当して下さいまして、弦四の収録にも立ち会って下さったのですが、現場ではアレンジャーであるはずの太田さんに対しても鋭いドSツッコミを(しかも音楽以外の部分で!)入れていらしたのが印象に残っています。
そして何故か現場にいる人間が全員(奏者、アレンジャー、写譜、エンジニア、ヴォーカルまで全て)とんでもない酒豪と判明。アルバム発売の暁にはみんなで杯を交わしましょう、と約束したことでした。…ってまたお酒の話に、すみません。

*
この曲の作詞は島崎藤村。藤村というと詩人というより後期の作家のイメージが強いかもしれませんが。
そして意外なことに、この詞の舞台となっているのは愛知県。しかもこの「流れ寄る椰子の実」を拾ったのは藤村本人ではありません。民俗学者柳田國男です。彼が療養のため伊良湖に1か月半ほど滞在したとき拾った椰子の実、その話を藤村に語ったところ、藤村はたいへんな感銘を受け、「自分が作品として発表するまでその話を他言しないで欲しい」と願い出たのだそうです。
藤村の中の幻想と詩情に包まれてその心の中で羽化した旅情と望郷は、カタンシリーズの根底に流れる「どこにもないどこか」であり「魂の故郷」へと繋がるものと感じます。


・「カタン<第二集>」公式サイト
http://www.team-e.co.jp/sp/cotton2/
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◆[Note:01] 月の沙漠 [カタン<第二集>]

皆様「カタン<第二集>」、そろそろお手元に届きましたでしょうか?そして、最後まで聴いて頂けましたでしょうか?
今回の唱歌アルバムは1枚目の「無印カタン」よりは睡魔を召喚しないのではないかと思うのですが、「荒城の月」あたりに催眠ゾーン(笑)がありますので、そのへんで皆さん寝オチして最後まで聴けない現象が起きていてもおかしくはないかなと。…は、思うのですが、頑張って縁起の悪い13曲目まで辿り着いて下さいませ。
トレイにCDをまだ入れていない人は今すぐ開封してイン!ですよイン!

さて、無事に「カタン<第二集>」発売の運びとなりましたので、今日からぽつぽつライナーノーツ的なものを収録曲を追う形で書いていこうと思います。まだ聴かれていない方で、ネタバレがお嫌いな方はここで華麗にUターンして、聴き終わってから読んで頂ければ幸いです。

初回は1曲目、「月の沙漠」。

*
「カタン<第二集>」の1曲目を担う「月の沙漠」。
CDをトレイにのせて再生ボタンを押したら声だけが流れてくる、というのはなかなかの冒険だと思いますが、そのアカペラをまるまるワンコーラス持ってきたアレンジャーの太田さんの思い切りにみとせが一番驚きました(笑)。
始まりはアカペラにしましょうか、というのは打ち合わせ段階で出ていた案なのですが、ワンコーラス目の後半からはバッキングがつくだろーなんて思っていたら、頂いたDEMOではいつまで経ってもバッキングが入ってこない。ワンコーラス終わってから漸くピアノが、と思ったら、ものすごくシンプルなフレーズ。こういうアレンジ、すっぴん(笑)な分だけやるのに勇気が要りますので、この形に決めた太田さんに逆の意味で度肝を抜かれました。太田さんにしてはあまりにもシンプルですが、思えばこの英断は「うたものギタリスト」を自ら名乗る太田さんにしかできないかもしれません。と、思ったところにきっちり間奏から満を持しての太田節満載ギターソロ登場(笑)、一気に太田ワールドになります。叙情派ギタリストの面目躍如、憂愁なフレーズが聴きどころです。

ピアノの重たい四つ打ちは末なき砂の上を往く歩みの重さ、緩やかに弧を描き交差する弦楽四重奏は果て無く広がる砂丘を見渡す視線、語り部の如く雄弁に道行きの哀しさを物語るギターの音色。絵画のように音と音とが絡み合い、「月の沙漠」の風景と叙情を描いていきます。
行く末の見えない沙漠に、引き返す先もない荒涼の砂丘に何を思い描くのか。幻想的な情景と物語をなぞる声と息の繊さに、「月の沙漠」の抒情を感じて頂ければ幸いです。

*
実はこの曲はとにもかくにもみとせが唱歌の中で一二(いやすみません、五指…で足りるかな…)を争うほど愛している曲で、1枚目のときから入れたくて候補曲にはあったのですが、自分の中でアレンジが定まらず、結局入れられなかった曲でした。今回もアレンジが自分の中ではっきりと決められないままやはり候補曲リストにだけは入っていたのですが、太田さんと一番最初の打ち合わせをした際、候補曲リストをお渡しして「やりたい曲はありますか?」とお伺いしたら、「月の沙漠」と即答。真っ先にあげて下さるなら、太田さんの中にあるイメージにこの曲を預けてみようと思い、アレンジをお願いしました。
太田さんの抒情と哀愁、みとせのか繊さが相まって、実に救いのない(笑)素敵な「月の沙漠」になったと思います。

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「月の沙漠」の作詞者は加藤まさを。当時人気の抒情画家でもありました。
サバク、は「砂漠」ではなく「沙漠」の文字が正解。
まさをが千葉の御宿海岸で結核療養をしたいた際に見た砂浜の風景から想を得た詞だそうで、この詞にモデルとなる外国の民話などはありません。アラビアンなイメージのある詞ですが、高貴の血筋の者が供も連れずに旅なぞしませんし、何よりそんな軽装で砂漠を行くなど自殺行為です。本当の砂漠の風景も気候も踏まえない、画家の幻想から生まれた架空の異国の情景。リアリティという実像を脱した抒情に漂う悲しみは、触れることのできない月から零れる甘露のようです。

千葉・御宿海岸にはこの曲を記念した碑と像が立っています。


・「カタン<第二集>」公式サイト
http://www.team-e.co.jp/sp/cotton2/
ティーム・エンタテインメント