◆[Note:04] とおりゃんせ [カタン<第二集>]

やってきました通称「呪いのとおりゃんせ」。わたしの中では「アグレッシブとおりゃんせ」なんですけども(呪いというならヨルガライヴでやった「ホラーとおりゃんせ」の方が呪われそうな気がします)。まさかあの導入直後にアップテンポ de ジャカジャカ(笑)になるとは思わなかったことでしょう(笑)。

多重録音+アップテンポ、国籍不詳、前代未聞の方向性を持ったこの「とおりゃんせ」、アレンジはDaniさんにお願いしております。基本のコンセプトと声部のだいたいの構成、展開などをみとせが声だけ一発録りでがんがん重ねたDEMOをDaniさんに渡して、
「こんな感じでこんな展開で、ここで壷井さんがはいってきゅいーんでぎゅわーんで最後のBメロは楽器隊バトルでお願いしまっす!あ、Daniさんも遠慮なくベースぶいぶい弾いてくだサイ。」
とお伝えしたらこうなりました(笑)。

声だけ多重DEMOを渡したら、Daniさんから開口一番、「あのー、立岩さん召喚していいですか?」と。かくしてKBB+ポチャカイテマルコwithみとせという状態になった「とおりゃんせ」、ある意味予想通りというかある意味予想以上というか、非常にテンションの高い曲になりました。

ちなみにDaniさんが弾いているギターっぽいけどちょっと違う楽器は、Daniさん自らギターを改造して作った自家製ブズーキ。一応アイルランド出身の楽器です、ということにします(笑)、ブズーキだし。
立岩さんが叩いているのはタブラとリクといって、前者はインドの楽器、後者はエジプトやシリアあたりの楽器。
壷井さんが弾いているのはアコースティックヴァイオリンですが…壷井さんですしね…。
ベースはフレットありの五弦(普通は四弦)のはず…なんですけどDaniさんが弾くとフレットレスに聴こえる(笑)。
なんだかもうものすごい国籍混交状態です。ついでに奏者の演奏も超絶混交状態です。でも何故か和風に聴こえるこの不思議。ディレクション役のDaniさんの匙加減と配分の妙です。

聴きどころは?と問われたら、全部ですと答えるしかありません。
多重で重ねた声のおどろげなるも美しい和声や掛け合い、もうどうやって弾いてるんだか判らないヴァイオリン、パーカッション、全体を牽引するブズーキと底部を支えつつうねるベース。それらが絡み合って展開していく中に見える世界観、そして奏者の個性を心行くまで堪能して下さい。

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原曲は言わずと知れたジャパニーズトラッド、日本のわらべうたです。江戸時代にできたものとされる説が有力ですが、歌詞の解釈には諸説あってどれも決め手に欠ける印象。なのでここには書きません。むしろこの謎の多い歌詞については独自の幻想で解釈した方が情景が広がるように思います。

実はこのアップテンポ多重の「とおりゃんせ」はずいぶん昔からわたしの中に構想として存在していて、音も鳴っていました。ヨルガライヴでやったホラーヴァージョンの方はこのアップテンポ版からの派生で作ったものです。とはいえあのスローでダウナーでホラーな「とおりゃんせ」もとても気に入っているので、いつか「ホラーとおりゃんせ」も何かのアルバムに収録したいなあなどと野望を抱いております。

それにしても、アレンジをしてくれたDaniさんはわたしの元DEMOから基本部分はほとんど変更せずにこの形に見事化けさせて(笑)下さいました。「変えるところは変えてもらって、ソロの尺も好きなだけ延ばして下さいね」とお伝えしてあったのですが、「んー、でもこれ長さも構成もちょうどいいし、変えるところないですよ」と仰ってくださって。
絶対音感もない、コードの知識もない、アレンジもできない、耳だけが頼りの音楽劣等生みとせのりこ、なんだかこれまでの音楽人生(音楽始めたばかりの頃からすごい人たちに囲まれてずーっと凹みながらやってきたので…)が報われたような気がしてとても嬉しうございました。そんな意味でみとせ個人の中でのみ、記念碑的な1曲です(笑)。
でも、ソロはきっちり一回り分延ばしてもらったけどね!!☆

Daniさん、壷井さん、立岩さん、素敵な楽器バトルを有難うございました。
ごはん3杯。