◆[Note:03] メリーさんの羊~アルプス一万尺 [カタン<第二集>]

雰囲気の違う曲が1曲ごとに登場する「カタン<第二集>」序盤の展開の最POPチューン、「メリーさんの羊~アルプス一万尺」。アレンジは”ひねトラッドPOP”バンド(とみとせは思っている)のオオフジツボさんです。オオフジツボ、と言っても分解すればみとせにとってもカタンシリーズにとってもおなじみのメンバー、太田さん、藤野さん、壷井さんですが(笑)。

この「メリーさんの羊~アルプス一万尺」のチェインは、以前Rivendellさんと一緒に唱歌ライヴをやっていたときのヴァージョンをベースにアレンジをお願いしていますが、そこにさらにオオフジツボエッセンスをプラスして頂きました。ギター、アコーディオン、ヴァイオリンの掛け合いと一体感、ポルカを挟んだトラッド展開は、「無印カタン」=1枚目の雰囲気を引き継ぎつつも「第二集」の空気によりマッチした力強さを備えています。

「第二集」では4曲ほど同時録音、所謂「一発録り」の曲がありますが、この「アルプス一万尺」も一発録り。しかも事前リハなし、DEMOだけ聴いて収録日に現場で何度か合わせて、そのまま収録に突入しました。そのため考えすぎない(笑)のがいい方向に作用したか、ライヴのような瑞々しさと勢いのあるいいテイクが録れました。個人的にきゅんときたのは4コーラス目、合いの手のかわりに入る藤野さんのアコーディオンのキラキラ感をどうぞご堪能下さいませ。

そしてこの曲は「無印カタン」でもちらほらとやっておりました、みとせのりこの補作詞あり。本来の歌詞を唄っているのは3番までで、4番~6番はみとせの書いたものです。かつてライヴでやっていたときは実は7番まであったのですが、今回は6番を割愛して5のあとに7がついております(笑)。この先ライヴでやることがあれば7までやるかもしれませんし、展開が増えたら8やら9までのびるかもしれません(笑)。というような緩さもこの曲ならでは、といえるかと思います。

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何故この曲ならでは、かというと、実は「アルプス一万尺」、なんと29番まで歌詞があって、作者が全部バラバラだと言われているからです。
「アルプス一万尺」として知られるこのメロディ、生まれはアメリカ。スイスとかあっちの方だと思っていた方も多いと思いますが、本来のタイトルは「ヤンキー・ドゥードゥル」といって、当時のアメリカが英国兵を皮肉ったものでした。
ではそのメロディに日本語詞をつけたのは誰かというと、某大学の山岳部の学生たちだと言われています。おそらくは日本アルプスに登った学生たち、キャンプしながら適当に替え歌を作って唄い、それが代々引き継がれ、新たな山岳部員がまた続きをつくり…していくうちに、なんと29番。きっと本来はもっとたくさんあったけど、書き残されているものがこれだけだったのだろうなと想像します。ですので時の山岳部員の皆様に倣いつつ敬意を表し、みとせ流「アルプス一万尺」を一節。ひそやかに山男たちの末席に加えさせて頂いたのであります。

ちなみに1番の歌詞に出てくる「小槍」というのは、日本アルプス山頂付近の岩場の呼称で、ここが標高3000メートル強=ちょうど一万尺。つまりこの「アルプス一万尺」のアルプス、海外のアルプスではなく、なんと日本アルプスのことなんです。
アメリカ民謡が日本アルプスに変化し、唄い継がれるうちにイメージだけが残ってスイスあたりに飛んでしまうこの不思議。まさに国境を超えたノスタルジー(笑)を体現していると言えるでしょう。

冒頭につけた「メリーさんの羊」もアメリカ民謡で、なんとなく似た雰囲気のPOPさをもちあわせているためライヴでもチェインで演奏してきましたが、ライヴの際はメリーさんの部分はアコーディオン独奏でした。今回はみとせのソロアルバムで、かつ1コーラスしか出ないこともあり、みとせが唄わせて頂いております。

みとせにしては珍しい明るくPOPでキュートなこのチェイン、楽しんで頂けていれば幸いです。

…ヘィッ!☆


・「カタン<第二集>」公式サイト
http://www.team-e.co.jp/sp/cotton2/
ティーム・エンタテインメント