28.「枯れゆくものに」

KI01秋 鈴蘭ブーケコサージュ

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これ、セールで買ったものなんですが、最初は買う気なかったんですね。けっこう好きな鈴蘭ではあったんですけど、鈴蘭はもう持ってるし、あわせるものを思いつけなかったし。なんですが…セールでこれがぽつんと出ていて、どうやらずいぶん荒らされたらしくて、型はよれてるわ、茎はあっちこっち向いてバラバラになってるわ、何よりラフィアが半分以下にぶっちぎれてたんです。それを無理やりなんとか結わえてあった。

…気の毒になってきましてねぇ;;

もともと枯れた風情に作られたコサージュではあるんだけど、それにしても見事にさらにドライな感じになっちゃって可哀想な状態で、こんなんじゃ誰が買ってくれるんだろうと。元値がけっこういい値だったので、セールにしても万にのっちゃうんですね。出来心で買うような人はこの状態じゃ出まいし。

そう思ってじっと見てたら、もうこれは自分が引き取るか、って気になってきました。もともと鈴蘭の中ではかなりいいと思ってたコサージュだし、ラフィアを新しいのに取り替えて、茎やなんかは手で整えてあげればきれいに戻る。

そんなわけでうちにおいでになりました鈴蘭のお嬢さん。ラフィアを外したまままだ替えてあげてませんが、型だけはすぐにせっせと整えました。葉の色も花粒もベージュっぽいので、白黒系ではなく、キナリや茶系向きの鈴蘭です。

手持ちのそういう服はニットのみなのですが、ニットのしんなりした雰囲気と、枯れたコサージュの風情が意外に合って、大人っぽく印象付けられます。枯れた風情を楽しむって、日本人にしか持てない感性なじゃないかな。

通称「枯れ鈴蘭」(笑)と呼ばれたベージュ系鈴蘭のときの、普通色のほうの鈴蘭コサージュです。普通色ではあるんだけど、葉の色とひねくれ具合に枯れた風情が漂っている。花粒も真っ白じゃなくてキナリがかったお色で、大人びた鈴蘭だと思います。葉っぱはがっちりとこの枯れたくねくね状に固めてあって、触るとばりばり、歩いて揺れてもこの型のままばりばり(笑)。ワイヤを曲げなおして型をつける、などというレベルのものではありません。全体に光沢感もなく、最初から枯れかけの風情を狙って作られているんだなあ、と思い知る瞬間した。