12.「セピア色の花束」

KI オールドローズコサージュ

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古いものすぎて年代がわからなくなってしまいまってます。おまけにカタログにも載ってないし。わたしはこれをオールドローズだと思って購入したんですけど、実は違ったりするのかも;; 違ってたらすみません; 一見梔子かと思うのですが、花芯の感じが梔子じゃなくて薔薇だと思うのです、むぅ。

立ち上げ頃のKANEKO ISAOの商品は旧い時代の服を模したようなものが多かったです。むかしの映画のなかで女優が着ていたような、ポリエステルのしんなりしたワンピースや、淡く渋いトーンの小花柄、落ちついたモノトーンの小紋柄、白い襟。
ディティールも明らかにアンティークドレスによく見られる時代的な細工が施されていました。房付きのグログランのリボン飾りや、ジャボと呼ばれるピンカートンタックなんかはまさしく時代ドレスからのひきうつし。今よく出ているひょうたん型のポシェットも、あの時代の貴婦人の気付薬と香水を入れたアクセサリーバッグだったものです。

そんな頃のKANEKO ISAOの服は、当時からアンティーク好き(卒論に「ヴィクトリア時代のナイトドレスとブラウスの装飾」をテーマにしようとしたくらい)で地味好きだったわたしにはとても好ましく映ったのですが、ブランド立ち上げ当時のわたしはまだ学生のお子さまで、それなのにその服の持つ時間の流れはあまりに優雅でゆったりと大人びすぎていて、憧れても足元にも辿りつけない何かを感じました。
「これはまだわたしの着ていい服じゃない、わたしはまだこの服に相応しくない。

この服に相応しいくらいの大人になるときが、10年後でも例え20年後でもくればいい。そのときにこれを着よう。」
残念ながら10年たってもわたしはまだまだお子様で、あんなゆったりした時間を生きてはいない。いつも忙しく駆けまわってつまらないことに一喜一憂している。

幸いなのか不幸なのか、その後94年に金子氏はPHを辞めて自社ブランドKANEKO ISAOに専念、可愛いラインのPHを手がけなくなった分をWONDERFUL WORLDで実現しながら、KANEKO ISAOもまたすこしずつアンティーク一辺倒でないデザインへとデザイナーの自由な発想の中で移行していきました。

当時のわたしが漸う自分にも馴染むのではと背伸びして買ったのがこのコサージュひとつ。やっぱり木綿のフリル服より大人びたポリエステルのワンピースや控えめなデザインに似合います。

お色がわかりにくいですけど、微妙な色出しの儚いベージュです。黄色味のベージュじゃなくて、グレイっぽいベージュなところがみとせ的に嬉しかったところ。小ぶりでかっちりしているので、上品に使えるコサージュです。何より花のかたちと花芯がすごく気に入って購入しました。薔薇っていうと花弁の多いお花屋さんで売ってるアレだって思ってる方も多いと思いますが、あれは交配を重ねて作り出した現代薔薇。一重咲きのものもたくさんあります。この薔薇はいわゆるオールドローズ、原種薔薇タイプです。日本の原種薔薇の代表格はハマナシですが、ハマナシにも似ています。