KNSのこと(7/27追記あり)

以前このブログに掲示したKNSの件、いろいろご心配のメールを戴いたのですが、
いつまで経っても皆様にご報告できる状態にならなかったので、長いこと
触れずにここまで来てしまいました。ご心配かけたままですみませんでした。
久しぶりのご報告だというのにいいお話ができなくて恐縮なのですが、
(そしておまけに端折ってもお話するととっても長いのです、ごめんなさい…)
KNSも、KNSの親会社であった㈱インターレックスも
残念ながら誠意ある対応をしてくださったとは言い難い状態です。
(※7/26Avexの方からご連絡をいただきました。お客様から窓口に寄せられた
  ご意見があったそうで、それを受けてインターレックスに働きかけて
  下さると言っていただきました。
  意見の電話など寄せてくださった方には心より感謝致します。
  心配してくださる方がいる、そのことは今のような状況では涙が出るほど
  嬉しいお話でした。本当に有難うございます。)


これまで自分以外のことについてもKNSにいろいろ働きかけてきたのですが、
その甲斐あってか、一部のアーティストさんには、何故かKNSの責任者とは
別名義で支払があったとのことです。
が、その他のわたしを含む一部のアーティストの中には、未だ支払を
受けていない人もいるようです。
何よりKNSと連絡を取ろうとしても、理由の説明なく「責任者は出せない」と言われ、
責任者が不在である以上、CDの権利関係、この先CDのリリースは続けられるのか、
それとも廃盤にするのか、そういった話し合いができない状態が続いています。
途中から代理人と称して話合いを担当していた方も、現在は全く連絡が
取れなくなり、その代理人を立て窓口となっていた㈱インターレックスも、
どんなに説明を求めても、何度電話をかけても、「担当者不在」の一点張りで、
折り返しの連絡さえ下さらなくなってしまいました。
責任者も不在、一部のアーティストにはCDの売上も支払わず、
また、工場から出荷したCDの製造費も支払われていないままで
KNSからAvexへの連絡が途絶えてしまったということなので、
当然ながらその状態でCDの追加生産をできるわけもなく、
市場在庫がなくなった今となっては、おそらくKNSからリリースされて
いたCDは全て事実上の廃盤ということになったのだと思います。

廃盤は廃盤で残念ではあるものの、起こり得ないことではないので仕方ないと
言えますが、今回の場合は大きな問題があります。
廃盤の意思をKNSが示したならば、責任者と話し合いをして権利を譲ってもらう
こともでき、そうすれば同じ作品を別のレーベルからリリースすることも
できるのですが、先にあげたようにKNSの代表と話し合いが出来ないので、
作品の権利を整理することが出来ず、このままではKNSから出ていたCDは
もう誰も触れることの出来ないブラックボックスに入ってしまう可能性が高いのです。
わたしのCDはあちこちで唄わせていただいていた曲をセレクトしたものでしたが、
中にはオリジナルの作品を預けていたアーティストさんもいらして、
そういう方は自分の大事な作品がそんな状態で、お金だけ払ってもらったとしても、
この先のことを思うとさぞ心痛のことと思います。

アーティストにとっては売上より何より、自分の作品がちゃんと生きていくこと、
皆さんが愛してくれた作品を、欲しいと思ってくださった方がいつでも
購入することができる状態にしておけることの方が何千倍も大事です。
また、何か事情があって止むを得ない形になったとしても、筋の通った説明が
あれば納得できるというものです。
そのどちらもない状態で、このまま有耶無耶にしてしまおうという空気の見える
現状の企業さんたちの対応。音楽や音楽人たちを軽んじる企業に対して、
不信感を抱くなという方が無理というものでしょう。
わたしは金銭よりも、ただ筋の通った経緯の説明と謝罪を求めていただけなの
ですが、現在に至っても何ひとつ透明になったものはなく、非常に遺憾です。
非常に遺憾ではありますが、最近の対応を見て、音楽を大切に思っていない人たちと
話していてもこれ以上は時間の無駄なのだなと感じてきました。
そんなことに時間を割くより、自分の音楽を少しでも多くやった方が、
自分にとっても聴いてくださる皆さまにもプラスに違いない、と。

正確な回答をもらったわけではありませんが、現状から見るとこの先もおそらく
責任者は現れず、正確な回答をもらえることはないのではないかと思います。
それに、例え今から回答をもらえたとしても、これだけの不誠実を見せられた
後では、わたし自身がKNSに預けていた作品のリリースを、再度許可する気持ちに
なれるとは思えません。
非常に残念ですが、責任者が話し合いに応じてくださらない以上、残された
唯一の著作の保護方法、著作人格者として、少なくとも明確に
今後のリリースと販売の停止を要求・宣言するべきと考えています。
それがここに至っての、わたしのKNS問題に対する解答です。
皆さまがどこか少しでも気に入って愛してくださったところのある作品が
こんなことに巻き込まれ、心から皆さまに申し訳なく思います。
また、「savon」を買おうと思っていたのに買えなかったという皆さまにも
心から申し訳なく思います。
「savon」という作品、いつものみとせとはちょっと趣向を変えた、爽やかで
明るい雰囲気中心の異色作で、でもそんなみとせを気に入ってくださる方も
おいでになることがわかって、わたしとしても、明るくて可愛い唄に少しだけ
自信が持てたきっかけとして、大事に思っていた作品なのですが…。

自分の音楽が大事であればあるほど、自分で大切にリリースする道を選ぶ、
そういったアーティストがわたしの周囲にも増えてきています。
現在みとせやキルシェ、ORITAが自分たちで運営している「桜詩舎」もまた
そういった気持ちに基づいて活動しています。
自分たちのリリースする作品は、たとえたった一人であろうとも、その作品を
欲しいと思って下さる方がいるなら、何箱の在庫を抱えようともリリースを
続けていこうと思っています。

この先KNSの件について何か大きな変化や進展があればまたご報告させて
いただきますが、おそらくないのではないかと感じています。
時間がかかったにも関わらず、よいご報告が出来なくて本当にすみません。
最後に、KNSに預けられていた多くのアーティストの皆さんの大事な作品が、
何らかの形でサルベージされ、またよい形で世に出ることがあるように
心からお祈りしています。