[Lyric]物ノ怪夜行

作曲 Dani 作詞 みとせのりこ

誰もいない 暮れ六つの辻
いつもと同じ ひとり遊びの  
「この指とまれ」

誰かの声が 不意に応えた
椿の陰 手を叩く音
嗤う陽炎
————“手の鳴る方へ”

黄昏の尾が 降りてくる 宵闇かごめ
戻る道がもう見つからない
何処にも

舞う狐火 盃の音
薄暮の宴 物ノ怪夜行
————“さあ通りゃんせ”

ヒトの顔した 虎鶫〈とらつぐみ〉が
語る抄〈コトバ〉 妖かし囃
————“行きはよいよい 帰りは何処〈どちら〉?”

回想る記憶の 目眩い現世〈ひるのひ〉の中に
帰る場所なんて元からない
何処まで 行っても

ざわめく影 生温い風
美酒の馨 召しませひとつ
———–“はないちもんめ”

誰かの声が 名前を呼んだ
人間〈ぼく〉の標籤〈なまえ〉
現世〈うつしよ〉の枷

「一昨日おいで もう帰りゃせぬ」

逢魔淵を 超えたらもう夜の境界〈さかい〉
帰る途なんて欲しくもない
このまま
終わらない黄昏の
向こう側へ