永遠の曇天

10代もまだ前半の時分から夢は隠居であったが
実はその夢は今も全く変わっていない。
死に近いように静謐に生き
その静かな生と境目のないような死があればよい。
祭りが嫌いなわけではないけれど
祭りの後の散らかった目の前の空間を
ひとりもくもくと片づけていると
世界やヒトがどうしてか嫌いになる。
その起伏が苦手だ。
淡々と静謐に生きて死ねたらそれでいい。
長いことずっとそう思っているのに
なかなかそういう風には生きられず
わたしは今も静かな隠れ家を夢想する。
その隠れ家はダイヤの格子に
すりガラスが嵌った小さな窓を持つ古い家で
わたしはそこで永遠の曇天を過ごす。