IB 百日紅コサージュ
真夏の日差しに透けて輝く花、百日紅。
数少ない純正非カネココサージュ(金子功デザイン監修ではないけどカネコ系、という意味で)で、実はこれも自分でショップで買ったものではなくて、友人から譲り受けたものです。百日紅のうすーい花弁のふちの、波打つフリルのような繊細さがよく表現されています。
IBのコサージュは不思議とどこかしらカタイというか、同じ花のコサージュを見比べてみると特にそう感じるのですが、どこがどう違うかはよくわかりません。そういう微妙な違いが出せるというのはやはりコサージュを作っているデザイナーさんや職人さんの玄人ワザによるのだろうなあと、勝手にそのエキスパートぶりに感じ入ったりするわけですが(笑)。
そんなわけで、しなしなくてくてしたものが好きなわたしはあまりIBのコサージュを持っていないのですが、この百日紅は店頭で見ても可愛いなあと思っていました。百日紅の本物の花そのものが大好きなこともあるんですが、似合う服がないので購入を諦めた割にはこうしてめぐりめぐって手元に来るのだから縁とは不思議なものです。
白のシングルブーケなので、単体で見ればオールシーズンOKで汎用性は非常に高いのですが、やはりせっかく真夏の花なので、自分的には麻のジャケット、或いはブロードの、ぱりっとしたサンドレスにつけたいコサージュです。
カネコセンセイそのものが「私の花柄の服は季節関係ないの、秋でも鈴蘭、いいの、それで」というようなことを仰っているわけですし、季節にこだわる必要は勿論ないのですが、自分としてはやはり、季節感の強い花(あとは和調のものなど)は、個人的な贅沢や「粋」という意味で季節にこだわってみたいな、と思います。
コサージュって、和の世界に置き換えるならたぶん帯留めみたいな位置付けなんだろうなと思います。なくても別にちゃんとコーディに問題はないし、ほどけたりもしないし、機能上はいらないようなところなんだけど、つい個人のこだわりで凝る、みたいな。
IBのコサージュはやはりどこかがかちっとしているというか、どこかしらコンサバで重めな印象を受けます。綿ならローンよりブロード、ニットよりジャケットに似合うようにできている感じ。茎の色が濃いせいなのか、まとめかたのせいなのか…。この百日紅もくしゃくしゃしている割には何故だかどこかがカチっとまとまっている。やっぱり緑の色のせいなのかな、などと、つい手にとっては違いを明確化しようと努力してしまう、コサばかのサガなのでありました。
くしゃくしゃと手もみして雰囲気を出した花びら。友人に「はながみ?」と言われてショックを受けた。風情なさすぎ!こういう珍しい花、通常の抜き型にないものは、パーツをひとつひとつ手でカットするそうです(ポピュラーな勿忘草とか菫とか雛菊とか鈴蘭とかは最初から型があるので、その型で抜きます。クッキー型みたいなので大量に作れるのです)。気が遠くなるような職人作業に敬服。