◆[Note:00]「カタン<第二集>」のこと

みとせのりこの唱歌アルバム第二弾「カタン<第二集>」、6月8日無事に発売となりました。既にお聴き頂けましたでしょうか?通販で申し込んで、まだお手元に届いていない方もいらっしゃる様子、お待たせしてしまってすみません。お手元に届いたら決して積まず(笑)に!何はともあれ開封して音盤はCDトレイにイン!して下さいね、イン! そして鳩山郁子さんの手による美しくも細緻なジャケットやブックレットに描かれたモチーフたちを隅々まで眺めて心癒されて下さい。

鳩山さんの公式ブログでも鳩山さん自らの撮影による美しい写真と文章でカタン1と2を並べて紹介して下さっております。2枚並べると昔の文庫本のよう。古書店でこんな装丁の本が売られていたら中身も見ずに即買い間違いなしのみとせです(笑)。

鳩小屋通信(鳩山郁子公式ブログ)

ジャケットを囲むように写りこんだ植物、グラス、そして真空管までも細やかな鳩山さんらしい美学に溢れ、作品のみならずその作品に対する姿勢から生活、感受性と人柄まで含め、わたしも見習いたい、とお会いする度に思います。

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さてさて、まだ音盤をお聴き頂いていない方もおいでと思いますので、楽曲を追ってのライナーノーツはもう少し後に致しまして、今日はアルバム全体についての零れ話などを。

TEAMの音楽プロデューサーでみとせの作品を担当してくださっている中村さんに「カタン2をつくりませんか」とお声がけ頂いたときは、「正統進化系で」ということでお話を頂戴しました。ですので、正統進化の前提で企画を立てつつ、でもまったく同じというのも勿体無いぞ、と思い、コンセプトに少しばかり変化をつけたのですが…出来上がってみたら予想よりはっきり違いが出たなあと思いました。

1枚目は春~初夏の午前中のような心地よく淡い光、洗いざらした木綿(=カタン、コットンの昔の日本語的発音です)の袖を抜けていくやさしい風を想定して作ったのですが、2枚目のイメージは夜。収録曲を見てお気づきの方もおいでと思いますが、正確には裏テーマが「月」と「星」だったりします。また、1枚目は中性的で未分化な雰囲気でまとめていましたが、2枚目はちょっと少年的な方向に寄った配曲になっていて、そのため全体に1枚目より硬質で重い印象になっているのではないでしょうか。肌触りとしては木綿だけでなく麻の入った「コットンリネン」な感じです。(とはいえ少女モノを欠いてはみとせのりこの人格とコケン<笑>に関わりますので、月夜の中に硬質な少女性も微かに滲ませつつ)。

そんな少年的コンセプトはジャケットからブックレットの隅々にまで表れています。真空管、組み立て式の蓄音機=MIKI Phoneやオルガニート(手廻し式オルゴォル)、そして時計草とメカニカルで繊細なのものが満載。それらの少年性はちょうど鳩山さん本来の作風に重なる部分でもあり、今回は前回よりもより鳩山さんらしさを出して挿画を描いて頂けるようにお願いしましたが、ジャケット見開きのイラスト、ジオラマ的な少年たちの理化学宇宙に金平糖のお星さま!まるで裏テーマを見抜いたかのような一枚に、鳩山さんの感受性の鋭さを見たのでありました(月と星が裏テーマだなんて一言も言ってなかったのですよ!)。

アルバムのジャケットというのは形なく不可視な「音」というものに与えられた「姿」だと思っているみとせですが、そんな符合をもって貌づくられた「カタン<第二集>」、音の隅々、挿画の隅々までは勿論のこと、ジャケットと音のシンクロまで楽しんで頂ければ幸いです。
(あ、歌詞ブックレットの見開きイラストの中に、小さな幸運のシカケがあります。もう気づかれた方もいらっしゃるかな。)

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音楽というのは嗜好品の極致なので、万人の口にぴったり合う料理を作ることができないように、万人が最高に自分にぴったりだと感じる音楽をつくることはできません。そんな中で尽くせるベストは、自分だけは掛値なく好きだと言えるものをつくること。
たくさんの方の力を借りて、その方々の心地よいと思うものと重ね合わせながら、わたしはわたしが心地よいと感じるものを丁寧に選んでこのアルバムにまとめました。
1曲でも、ワンフレーズでも、お気に召して頂けるところがあれば幸いです。さらに幾つかの曲を慕わしく感じて頂ければ、より幸いです。
このアルバムにこめられた「魂の故郷」が、貴方の世界の片隅の小さな路地とつながっていますよう、そう祈りながら2枚目の唱歌アルバムを送り出したいと思います。


・「カタン<第二集>」公式サイト
http://www.team-e.co.jp/sp/cotton2/
ティーム・エンタテインメント