48.「いづれか知らず」

IB年代不明 椿コサージュ

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椿コサージュとしていますが、実際これが本当に「椿コサージュ」として発売されたものなのかわたしは知りません。つまり他のIBのコサージュのように、自分で店頭で選んだものではないのです。手元に来る際に、「椿コサージュ」と名がついていたので、ここでは椿としています。

ただ、以前いつだったか、店頭でこれによく似た型の薔薇のコサージュを見た記憶があるので、これは薔薇のコサージュなのではないかと思います。花弁の枚数とか、茎にくるくるの蔓がついているところとか、蕾のかたちとか、花芯の風情とか、薔薇の方に近いのです。
椿は宣教師カルメの手により西洋に運ばれて定着、西洋の文学などでは常に「香りのない花」と言われ、冷たい花、或いは控えめな花など、女性を表すモチーフになってきました。

とはいえまったく香りがないわけではなく――桜も香りのない花と言われますが、日本人なら「香り、あるじゃん!」と思いますよね(笑)。
西洋の花の象徴である薔薇の、遠くからでもわかる匂い立つ芳香に較べ、唇を近づけるほどに側に寄らねばわからないほどの清しい香り、その控えめなところが日本らしいという気がします。

このコサージュはどちらかわからないけれど、確かにこの日本的なこっくりした赤の色と重めの素材感は、椿と言われれば椿と思えなくもない。

合わせ方によって椿にも薔薇にも化けるというのは、考えてみれば実に興味深く魅力的なイメージで、実に女性の本質をついていると思います。

最近は品種改良も進んで、椿もとりどりの美しさを見せるようになりました。西洋の薔薇に劣らぬ椿の風情を堪能したいと思います。
IBのコサージュは結局プロパーで購入したことがないみとせのりこ、これも例に漏れず…。IBのコサージュは「自分がつけたいコサージュ」ではないのですが、独特のクラシシズムがあって「とても美しくていいコサージュ」だと思います。どんなの出てるかな、と、通りすがれば店頭をのぞいて鑑賞。いつだったかこれの色違いを店頭で見て、それは確実に薔薇に見えたような気がしたのだけど、通りすがりなので詳細は不明。どなたかIB愛用者でこの子の出自をご存知の方は教えて下さい。